不妊手術を施し、耳に切り込みが入れられた猫=福井県敦賀市内

 野良猫の繁殖を制限するため、福井県敦賀市は2021年度、市民や団体が行う不妊手術費の一部を補助する制度を新設した。福井県嶺南地域の市町では初めて。過剰な繁殖に歯止めをかけることにより、殺処分されたり、自然界で成長できずに死んだりする不幸な命を減らす。

 環境省の試算では1匹の雌から1年後に20匹以上、2年後には80匹以上に増えるとされる。不妊手術による繁殖抑制で、野良猫が住宅敷地などで排せつすることによる、ふん尿被害をなくすことも期待される。

 県獣医師会が2017年から雌の避妊手術を1万5千円(税込み)、雄の去勢手術を1万円(同)の割安費用で行う事業を開始。市はこのうち雌7千円、雄5千円を補助する。同様の補助制度は福井、坂井、あわら市と永平寺町が取り組んでいる。

 野良猫に不妊手術を行い、地域に戻す活動は「TNR=Trap(捕獲)、Neuter(不妊手術)、Return(元の場所に戻す)」と呼ばれ、全国的に広がっている。不妊手術を行った猫の耳には、再び手術をしてしまわないよう桜の花びらのような切り込みを入れ「さくらねこ」とも呼ぶ。

 補助対象は市民や市内団体で、区長らが野良猫であると確認した猫の手術に限る。ともに市内の協力病院の奥野動物病院、田辺獣医科病院で手術を行う。

 数十年前から捨て犬や捨て猫を保護し、私費を投じて里親探しや不妊手術などを行ってきた市内の女性は「補助はありがたい」と感謝する。制度を知ることで「猫との共生に理解してもらい、もの言えぬ動物の命を守る世の中になってほしい」と話している。

 補助制度の問い合わせは市環境廃棄物対策課=電話0770(22)8121。