旧JR女川駅の模型(手前)を制作した高間信夫さん=福井県坂井市丸岡町

 福井県福井市在住のミニチュア模型作家タカマノブオ(本名高間信夫)さん(58)が、東日本大震災で津波により流された旧JR女川駅(宮城県女川町)の模型を制作し現地に贈った。被災者を元気づけようと、同町で模型展を開いたのが縁。高間さんは「町の玄関口である駅舎での楽しかった思い出を懐かしんで、笑顔になってもらえたら」と願いを込めている。

 高間さんは、アニメや映画に登場する建物の模型を制作する作家として活動している。

 福井地震から70年を迎えた2018年6月、当時の被害を伝える新聞記事を読み、東日本大震災の被災地で展示会を開こうと思い立った。地震や水害など災害に苦しんだ福井という街に住むだけに、東北地方の被害が人ごとでないと感じたという。「模型を見て、ほんのひとときでも笑顔になってもらいたい」との思いで今年3月、仙台市と女川町で模型展を開いた。

 女川町での開催へ協力を得ていた関係者から昨秋、「女川町にまつわる建物の模型を作ってほしい」との依頼を受けた。当初は「惨劇を今すぐにでも忘れたいと思う人もいるであろう中、模型を制作していいのか」と迷ったという。しかし「駅には誰もが楽しい思い出があるはず」と思い直し、旧女川駅の復元模型の制作を決めた。

 約1カ月間かけて図面を作り、今年1月から制作を開始。より正確に再現しようと連日、現地の人たちと連絡を取り意見を求めた。

 模型は45分の1の縮尺。土台は約60センチ四方で、駅舎の高さは22センチ。瓦屋根一つ一つなど駅舎の外観や内部が精密に作られているのはもちろん、駅の前に駐車するタクシーや駅舎内の自動販売機なども作り、当時と同じ位置に設置している。

 記憶をたどって懐かしんでもらおうと、震災前にSLホエール号がJR石巻線の小牛田―女川間を記念走行したことを表すプレートを、模型の背面下に備え付けた。

 完成した模型は今月初めに送り、13日に東北電力女川原発・地域総合事務所へ届いた。今後、同発電所や町内の行事などで展示される予定。