新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

 新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が4月に発生した福井県越前市の介護施設を運営する同市の会社が、感染が広がった経緯を独自に調査し報告書にまとめた。施設内の映像から、利用者同士がマスクを着けず対面で過ごすなど感染が起きたとみられる場面を特定。マスク着用の再徹底や従業員のフェースシールド装着などの対策が必要としている。

 デイサービスやショートステイを行う同社の事業所で、4月8~25日に利用者7人と従業員2人の感染が確認された。今後の対策に役立てようと、施設管理のためのモニター映像から当時の状況を洗い出し、感染場面の把握を試みた。

 同社によると、感染が分かった利用者同士が食堂でマスクなしで談笑していた。テーブルには飛沫(ひまつ)防止のついたてがあったが、1人が席の隣に立って会話していた。着席していた他の利用者は陰性だった。

 別の感染者は、送迎を待つために玄関先に集まった際、マスクなしの感染者と近い距離で話をしていた。飲食時にマスクを外して会話したことで感染したとみられる例もあった。

 感染した従業員は、自転車型トレーニング器具を使った機能訓練の際に、陽性の利用者と向き合っていた。互いの距離は1メートル程度で、ともにマスクを着けていたものの、従業員はマスクがずれて鼻が出た状態だった。もう一人の従業員は、利用者がマスクを外す入浴介助の際に感染したとみられる。

 対策として、利用者間で特に会話する時はマスクをしっかり装着し、食事は黙食の徹底を確認。従業員は、利用者の正面に立つ機能訓練や入浴介助で、ゴーグルやフェースシールドを装着することなどを挙げた。

 報告書は5月14日に越前市に提出する。同社社長は「具体的な場面から分析した対策を他の施設にも水平展開してもらい、正しく恐れて正しく予防するために役立ててほしい」と話している。