【越山若水】かわいいとか、怖いとか、賢いとか、おとなしいとか、人が動物に対して持つイメージは極めて主観的で一面的だ。具体例として、カラスとカモメを比較してみるとよく分かる▼カラスは都市でも田舎でも頻繁に見かけるが、「農作物を荒らす」「生ごみを食べる」などあまり印象が良くない。さらに近ごろは人から食べ物を奪ったり、子どもを襲撃したりする“事件”が報道され、「カラスは怖い」「人を襲う」などすっかり悪者扱いである▼黒ずくめのビジュアルも影響しているようだ。と言うのも、色の白いカモメだと全く話が違う。港や川べりにすむカモメ類は、カラスと同じくごみ漁(あさ)りの常習犯。他の鳥の卵やひなを襲うことも多い。それなのに人はパンを与えたり、愛らしいとかわいがったりする▼以上、動物行動学者の松原始さんが著した「カラスはずる賢い、ハトは頭が悪い、サメは狂暴、イルカは温厚って本当か?」(山と渓谷社)に教わったお話。「人は見た目が9割」というように、人間はいかにイメージ優先、表面的な評価をしているかがよく分かる▼それに比べて、子どもたちの見る目は純粋無垢(むく)。越前市出身のかこさとしさんの絵本「からすのパンやさん」に熱中し、戦前の童謡「かもめの水兵さん」にも耳を傾ける。きのうから「愛鳥週間(~16日)」。子どもの視線で野鳥や自然と触れ合いたい。