福井県の緊急事態宣言の期間中は越前市民だけが利用できるようになった市丹南総合公園野球場=5月7日、福井県越前市余田町

 新型コロナウイルスの感染拡大や福井県独自の緊急事態宣言を踏まえ、越前市は5月13日まで、市スポーツ施設の利用を市民に限定している。他市町でスポーツ施設の利用中止が相次いだ中、「市外の人が流れ込むのを避けて市民の利用機会を守る」(越前市教育委員会)ための措置だ。市内のスポーツ少年団は練習が継続できると歓迎する一方、感染リスクを心配する市民の声も。同じチーム内でも市外の選手は練習に参加できないことへの不満も聞かれ、賛否が交錯している。

 越前市はゴールデンウイークを控えた4月27日の対策本部会議で、公共施設の利用制限を協議。スポーツ施設は、AW―Iスポーツアリーナや丹南総合公園、小中学校の体育館・グラウンドなどすべてを、県の緊急事態宣言の期間となる13日まで、市民のみ利用可とする措置を決めた。

 一方、鯖江市や福井市、勝山市、永平寺町はスポーツ施設の利用を中止。南越前町も町教委が管理するスポーツ施設を休館した。越前市スポーツ課は「市民限定」とした理由を「市外の人が利用できる施設を調べて市内に流れてくることを避けるため」と説明。越前市内でも感染者が確認されているものの、感染経路はほぼ把握されていて拡大に歯止めがかからない状況ではないとして、利用中止にはしなかったという。

 市内のあるスポーツ少年団の指導者は、昨春の緊急事態宣言では活動自粛を求められたことを挙げ、「1年前は子どもの顔を見ることもできなかった。スポーツは不要不急と思う人もいるかもしれないけれど、練習を継続できるのはありがたい」と率直な思いを口にする。

 ただ、体育館利用が市民限定となったため、福井市と鯖江市の団員には「決まりだからごめんね」と13日までの練習を休むよう伝えた。そろって活動を中止する意見も出たが、できる範囲の練習を続けることにしたといい、「早く通常に戻ってみんなで練習したい」と心苦しさをにじませた。

 越前市のクラブチームに所属する越前町の児童の母親には、参加を控えるよう求めるメールが指導者から届いた。「近隣の地域に住んでいるのになぜ」と不満を募らせる。「クラブ内で騒ぎ立てたくはない」としながらも、「そこまで交流を制限しないといけないのか」と分断を招きかねない市の対応に疑問を抱いている。

 変異株による若年層への感染が増える中、福井市など複数の市町は、スポ少に活動自粛を求めている。越前市には、そもそも市民にも利用を認めるべきではないとする声も寄せられた。

 越前市スポーツ課の担当者は「本来なら他市と足並みをそろえるのが常套(じょうとう)。施設を閉鎖するのは簡単だが、ストレス発散の機会をできるだけ市民に提供したかった」。さまざまな意見を受け止めつつ、市民生活の維持と感染防止のはざまで「(正しい)答えはないと思う」と対応の難しさを吐露した。

 14日以降の施設利用について越前市は、県の緊急事態宣言の行方も踏まえながら、市内の感染状況に基づいて判断するとしている。