口白症のゲノムの一部を発見し、PCRを用いた検査・診断を行うイメージ(福井県立大学提供)

 福井県立大学と三重大学の研究グループは5月6日、養殖トラフグに大きな被害が出る病気「口白症(くちじろしょう)」を確定診断する手法を世界で初めて確立したと発表した。発症した魚の脳から病原体のウイルスの遺伝子の一部(リボ核酸=RNA)に特有の断片があることを突き止め、診断に活用した。ウイルスは新種とみられ、研究グループは「長い間謎の病気だったが、早期発見・対策につながれば」としている。

 県立大学海洋生物資源学部の宮台俊明名誉教授(69)、末武弘章教授(50)がオンラインで会見した。論文は3月、日本魚病学会誌「Fish Pathology」に掲載された。

 口白症は、トラフグの口唇部に潰瘍が形成されたり、異常遊泳したりして、発症後10日ほどで死に至る。発症した魚が他の魚にかみ付くことで広がり、いけすが全滅する可能性もあるという。1982年に長崎県の養殖場で高水温時の不明病として報告され、現在も散発的に発生しているとみられる。

 これまでの研究で未解明のウイルスが原因と予測されていたが、ウイルスのゲノム(遺伝情報)解析が長年できていなかった。

 研究グループは約30年前から研究に着手。ゲノム解析により、このウイルスに他には見られない三つのRNAの断片があることを突き止めた。また、病状の進行とともに三つのRNAの断片が急速に増加することも特定した。

 これにより、PCR(遺伝子)検査を用いた口白症の検査・診断が可能になるという。口白症の発生状況の把握やゲノム情報を元にしたワクチン開発につながることが期待される。宮台名誉教授は「ウイルス分野の研究にも役立てれば」と話した。