【越山若水】福井を舞台の青春スポーツ小説の題名に「2.43」という数字が光る。高校男子バレーでは全国大会のネットの高さである。地区大会は3センチ低くて、「2.43」はあこがれの象徴だ▼壁井ユカコさんの小説「2.43 清陰(せいいん)高校男子バレー部」。清陰高は奥越にあるイメージでライバルの強豪福蜂(ふくほう)工業高は福井工大福井高をモデルとしたとか。TVアニメも放映され、福井弁に親近感もあって人気を呼んだ▼男子バレーの国際大会でもネットの高さは「2.43」。最高峰のゲームが今夏の東京五輪だろう。本年度の男子日本代表登録選手に福井工大福井高出身の清水邦広さんがいる。五輪メンバーはこの中から選ばれる。監督は藤島高出身の中垣内祐一さんと期待は膨らむ▼日本男子は前回の東京五輪から革新的プレーでメダルを銅、銀、金と塗り替える。おとり選手のジャンプでブロッカーを引きつけ、ネット上に空白の空間と時間をつくっての「時間差攻撃」がその代表。当時の監督、松平康隆さんが松本清張の「点と線」を読みひらめく。東京駅の過密ダイヤを生かした有名な犯罪トリックがヒントになったという(長田渚左(なぎさ)著「勝利の神髄1928―2016」)▼緊急事態宣言が発令中で、新型コロナの感染拡大が気がかりではある。とはいえ、東京五輪の「2.43」を舞台とするドラマ、新たなプレーは楽しみにしたい。