リオデジャネイロ五輪のフェンシング男子エペ準々決勝で攻める見延和靖(左)=2016年8月9日、リオデジャネイロ

 東京五輪のフェンシング男子エペ日本代表に決まった見延和靖(福井県立武生商業高校出身、ネクサス)が5月2日までに福井新聞の電話インタビューに応じ「目標は代表入りじゃない。スタートラインに立った」と心境を明かした。1年ぶりに臨んだ3月の国際大会では「試合勘の低下」は否めなかった。本番まで約80日に迫る。「金メダルを持ち古里に凱旋(がいせん)してみせる」。落ち着いた中にも覚悟をにじませた。

 「大きな目標を果たし、わずかに緩んだ部分があったかもしれない」。2018-19年シーズンの世界ランキング年間1位獲得後、上位に食い込めない時期が続いた。16年リオデジャネイロ五輪は男子エペで過去最高の個人6位入賞。格付けの高いグランプリを2大会連続で制すなど、19年序盤まで破竹の勢いを見せていた。追われる立場となり「重圧、孤独を味わった」と顧みる。

 新型コロナウイルス禍で選考レースは1年中断した。3月に持ち越された最終戦のワールドカップ(W杯)ロシア大会。久々に味わう緊張感は「やはり国内大会とは別物」だった。試合勘が鈍り、ウクライナ人のエペ統括コーチからは「フェンシングを忘れているようだ」と指摘された。

 エペ男子がメダル争いを演じて五輪団体枠を自力で得て、浮いた個人の開催国枠を世界ランクの低い女子エペに回す目算も狂った。善戦したが5位。開催国枠は男子に割り振られ、女子エペは団体出場を逃した。悔しさは残る。

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 一方、大会では「ライバルたちも苦しんでいる」とも感じた。コロナ禍で実戦をこなせていないのは世界共通。「同じ土俵に立っているということ。本番までにどれだけ動きと勘を戻せるかだ」。迷いはない。

 若手をけん引してきた年長者として、団体出場の決定が何よりうれしい。リオ五輪では練習相手として同行した山田優(26)=自衛隊=が今や世界ランクで日本勢1位に成長した。国際大会で予選が免除されるランカー(世界16位以内)に自国勢で3人を並べるのは日本だけだ。「彼らと切磋琢磨(せっさたくま)して自分自身も強くなれた」と感謝する。個人戦でも「浮き沈みは何度も経験してきた。ピークを東京に合わせる」と力強い。

 「史上最強のフェンサーになる」目標はぶれない。視線はさらに先を見据え「東京五輪は競技人生の分岐点になる」。日本のエースと呼ばれる男が真価を見せる。