「死にたい」など自殺につながる言葉を検索すると表示される画面。福井県福井市の相談窓口へ誘導していく

 福井県福井市は、インターネットで自殺関連の言葉を検索すると、市の相談窓口への連絡を促す広告を表示する事業を新たに始めた。コロナ禍で生活や心に悩みを抱える人に早い段階で相談を促す狙いで、福井市保健所保健支援室は「相談したくてもできない人に利用してもらいたい」と話す。

 インターネット検索サイト「グーグル」で「死にたい」「死ぬ方法」など自殺につながりそうな言葉を検索すると「死にたくなったあなたへ―つらかったですね」「ひとりで抱え込まず一緒に考えましょう」と表示が出てくる。クリックすると市ホームページの相談窓口の一覧が表示され、相談へと誘導する仕組み。

 表示が出るのは、ネット上の「住所」に当たるIPアドレスが福井市の人が条件。委託料など本年度一般会計予算に約90万円を計上した。県内で同様の取り組みを実施している自治体は珍しいという。

 自殺対策では、会員制交流サイト(SNS)を活用した相談事業が全国の自治体やNPO法人などで実施されている。SNSは匿名なので相談者が本音を出しやすい一方、文字によるやりとりは状況把握に時間がかかるという弱点も指摘される。

 このため同市は対面相談に力を入れている。中核市に移行した19年以降、悩みを抱える人を対象にした相談会を定期的に実施。昨年は開催日数を増やしたほか、臨床心理士による心のケアもはじめた。今のところコロナ禍による相談件数に大きな変化は見られないが、同市は「コロナ禍の生活が長期化する中で、自殺につながっていくリスクは高い」と懸念。同支援室は「従来の相談窓口と広告事業を組み合わせて相談体制を強化していきたい」としている。