【論説】永平寺町消防団は大規模災害発生時に活動する機能別団員に、町内全地区にある地域防災組織のリーダーを任命した。「大規模災害時活動支援員」として、地域防災リーダーが避難所設置など初動を担う全国でも先進的な取り組み。住民で地域を守る「共助」体制の充実に期待したい。

 機能別団員制度は、総務省消防庁が2005年に導入した。消防団員は消火活動や災害救助に従事、消防署員らの後方支援などに当たる。しかし、少子高齢化や訓練などが負担となり、全国的にはなり手が少ない。こうした団員不足を解消するため、機能別団員は専門的な技術を生かして大規模災害発生時や特定の役割に限定して活動する。

 同町消防団では09年に福井大看護学科の学生を任命し、「大学生防災サポーター」と名付けた県内初の機能別団員を誕生させた。これまでに町内建設業者らによる「建設重機オペレーター」、役場職員が担う「火災対応団員」、看護師による「まちの減災ナース」と、四つの機能別団員に49人を任命している。

 県によると県内18消防団のうち、機能別団員制度を導入しているのは9団。消防団OBを任用するなど複数を運用する消防団もある。その中でも永平寺町消防団は積極的に取り組みを進めている。

 「大規模災害時活動支援員」は、町内全89地区にある地域防災組織のリーダー89人と、この防災組織をまとめる8ブロックの会長8人の計97人。台風や豪雨などの災害時、町が危険な場所から全員に避難指示を出す「警戒レベル4」で、活動に当たる。町によると、避難施設の設営や運営、住民の避難誘導を行う。

 災害規模が大きくなるにつれ、消防署員や役場職員は災害現場などの対応に当たるため「公助」の人手不足は予想がつく。防災リーダーらは普段から住民の情報や地域の状況を詳細に把握しているだけに、きめ細やかで迅速な対応が可能という。

 活動に当たっては自身の家族らの安全と「活動支援員」としての使命のどちらを優先するか、判断に迷うこともあるだろう。同町消防本部では「自身の状況を踏まえた活動を」と柔軟に対応する構えだ。

 全国で大災害が相次ぐ中、県も機能別団員制度の導入を促進している。同町では高齢者ら「要配慮者」を受け入れる福祉避難所の開設や運営の見直しも進めるなど、地域防災力の磨き上げに力を注いでいる。万一に備え住民が中核となった取り組みに注目したい。