登校した生徒と談笑する吉田教頭=4月9日、福井県の福井市国見中学校

 35年以上にわたって福井県内の小学校、中学校で学校事務職員を務めてきた吉田清子さん(58)=福井市=が、本年度から福井市国見中学校に教頭として赴任している。福井県教育委員会によると、県内公立校で教員以外の人が教頭に就くのは初めて。「教頭として生徒に向き合うとともに、地域に根差した学校づくりを一層深めたい」と意欲を見せている。

 吉田さんは学校事務職員として採用されて以降、小浜市中名田小学校を皮切りに、福井市明倫中学校や社中学校など8校で学校事務を担ってきた。

 転機は2年前。前任校の至民中学校の小林真由美校長が、吉田さんの事務能力、学校環境を整えるマネジメント能力を高く評価。「吉田さんは生徒と真正面に向き合い、管理職として学校経営を十分担える人材。管理職任用選考試験の受験を促した」と、後押しした。小林校長の言葉に「後輩の学校事務職員たちに、キャリア形成として、こういう道もあることを示したい」との気持ちが重なり、受験を決意した。

 2019年度の同試験で筆記、小論文、面接に挑み、見事合格した。県教委によると、19年度の同試験教頭部門は約400人が受験し、合格者は2割弱という狭き門だった。「結果に驚いた。授業をしたことがない、その自分に求められるものは何かを真剣に考えた」と振り返る。昨年度からは学校経営の知識を深めようと、福井大教職大学院の学校改革マネジメントコース(2年間)で学んでいる。

 4月1日から国見中に赴任した。毎日午前5時に起きて、7時半までに生徒玄関前に立ち、登校してくる生徒とあいさつを交わす。「授業や校内活動に取り組みやすくする学校づくりに、これまでの経験を生かしたい」と意気込む。さらに「中学生の大きな力を地域活性化にもつなげられるよう努めたい」と、地域との連携強化にも取り組む考えだ。

 国見中の渡邉俊範校長は「教員にはない新しい感覚を校内に取り入れてほしい」と期待を寄せた。