福井県大野市内で撮影されたイヌワシ=2019年4月12日(小澤俊樹さん・日本イヌワシ研究会提供)

 福井県池田町で建設計画が進む風力発電の事業実施区域10キロ圏内に、国内希少野生動植物種(希少種)に指定されているイヌワシの営巣地があることが、民間団体「日本イヌワシ研究会」の調査で分かった。風車に衝突するバードストライクの危険性を指摘する研究会は4月19日、事業者に建設中止を勧告するよう求める意見書を県と町に提出する。

 研究会は国内のイヌワシの保護や調査に取り組んでいる。県内では25年以上前から調査を続け、現在は奥山の一部で、つがい5組の生息を確認している。

 イヌワシは県レッドデータブックで絶滅の危機にひんしている「県域絶滅危惧Ⅰ類」に選定されている。県自然環境課によると、鳥類の中でも特に希少で、県内の詳細な生息域は把握できていないという。

 池田町では、電源開発(Jパワー)が大野市境で高さ約150メートルの風車を最大11基建設する計画を進めている。運転開始時期は未定。現在は4段階ある環境影響評価(アセスメント)の2段階目で、6月に環境影響調査の手法に関する知事意見が同社に提出される。

 研究会は、事業実施区域がイヌワシのハンティングエリアと重なっていることを確認していると説明。「風車への衝突死など重大な影響は避けられない」として、計画の中止を求める。須藤明子会長は「25年以上にわたる現地調査の結果は建設の是非を判断するのに十分な資料」と話している。

 電源開発の広報担当者は「今後、環境影響調査を実施し、地元の理解を得ながら事業を進めたい。調査で環境への影響が分かれば、対策などを実施していく」としている。

 【イヌワシ】 翼を広げると最大2メートルにもなる大型の鳥で、国の天然記念物。国内では北海道から九州の山岳地帯に500~600羽ほどが生息している。森林伐採やダム建設などにより、ハンティングエリアの消失や悪化が要因とされる。環境省のレッドリストでは「絶滅危惧I類」。絶滅危惧I類、同Ⅱ類のうち、人為の影響により生息状況に支障が生じている種が国内希少野生動植物種(希少種)に指定される。