復興庁が公開した動画に登場するキャラクター化された放射性物質トリチウム(復興庁ホームページより)

復興庁が公開した動画に登場するキャラクター化されたトリチウム(復興庁ホームページより)

 政府による東京電力福島第1原発処理水の海洋放出決定に合わせ、復興庁がウェブサイトで公開したチラシと動画が波紋を広げている。放射性物質トリチウムを、風評払拭を目的にかわいらしくキャラクター化したものだが、福島県民からは4月14日、「福島が抱える現実の厳しさと感覚がずれている」と批判の声が上がった。

 復興庁は13日に公開を始めたが、批判を受け14日夜にチラシと動画の公開をいったん休止し、デザインを修正すると発表した。「放射線というテーマは専門性が高く分かりづらい。多くの人に関心を持ってほしい」とキャラクター化の目的を説明した上で、国民の声を踏まえたデザインにするとした。

 復興庁の担当者によると、当初のデザインは風評払拭事業の一環で作成し、委託先の電通がイラストレーターに依頼した。トリチウムが健康への影響がないとされていることや、国外の原発からも放出されていることを紹介している。

 福島県いわき市の漁師(82)は「海に流したい国の気持ちが前面に出ているようだ。俺ら漁師には通じない」と嘆息する。同市で復興活動に携わるライター(41)は、ツイッターに「ゆるキャラ出しとけば一般市民に伝わるっしょ!みたいなノリだとしたら、リスクコミュニケーションをなめてる」と投稿した。

 ライターは取材に「漁業者は放出に徹底してあらがおうとしており、怒りを抑え必死に前を向こうとする県民も多い。僕らが抱える問題の重さと、キャラの軽さのずれは大きい」と指摘した。