コロナ禍を経て、時代は集中から分散へ向かうと話す隈研吾氏=4月7日、福井県永平寺町の福井県立大学永平寺キャンパス

 東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる新たな国立競技場の設計にも携わった建築家の隈研吾氏が4月7日、福井県永平寺町の福井県立大学永平寺キャンパスでの入学式で特別講演した。新型コロナウイルスの流行で、人の流れが集中から分散へ転換期を迎えていると指摘。越前和紙などの伝統工芸や自然の豊かな福井県は「分散に近づいていく今の時代に力となる宝を持っている。この地で学べることは大きなチャンス」と新入生にエールを送った。

 県立大学の入学式は2年ぶり。進士五十八学長と隈氏は親交があり、特別講演が実現した。

 隈氏は、コンクリートの高層ビルが次々建てられたこれまでと一転、自然を感じる生活を求める時代になるだろうと述べた。その土地の木材や石などを使い「周りの自然と一体になるような建物」を目指し、自身が設計を手がけた国内外の美術館などを紹介した。

 新たな国立競技場は、47都道府県の木材を使用している。隈氏は、ビッグデータに基づいたシミュレーションにより、風通しを良くする工夫を施したことも説明した。「作り方は昔ながらの方法だが、先端技術が加わると新しい時代が開ける」とし、「自然と最新技術の力を合わせ、新しい時代を担う人材になってほしい」と呼び掛けた。

 県立大学は昨年度、新型コロナの影響で入学式を中止した。本年度の新入生は経済、生物資源、海洋生物資源、看護福祉の各学部と大学院の計475人。式典、講演会とも出席は新入生と教職員のみで、3会場に分散して行われた。