人工巣塔に巣を作ったコウノトリの雄(左)と雌のカップル=4月2日、福井県小浜市国富地区

 国内野生種のコウノトリ絶滅前に、ひなのふ化が最後に確認された福井県小浜市国富地区で、55年ぶりにコウノトリのカップル2羽が営巣しているのが4月3日までに確認された。地元の住民団体「コウノトリの郷づくり推進会」によると、交尾する姿が目撃されたほか、巣を離れず伏せている時間もあり抱卵に入っている可能性もある。地元では「半世紀ぶりの新しい生命の誕生が現実味を帯びてきた」と期待が高まっている。

 同推進会によると、2羽は島根県雲南市生まれの雌「はるか」と、兵庫県養父市生まれの雄「誠(まこと)」で、ともに3歳。はるかの父鳥は福井県の飼育繁殖事業で2014年に越前市白山地区で福井県内50年ぶりのひなとして誕生し、翌15年に放鳥された「げんきくん」。

 2羽は3月26日に、地元が昨年9月に設置した人工巣塔に頻繁に枝を運び込んでいる様子がみられ、27日には巣塔で交尾する様子も確認された。4月2日には1羽が巣塔にとどまって伏せ、もう1羽がエサを探しに交代で飛び立つ様子がみられた。

 3日現在、卵やひなの姿は確認できていないが、2羽の行動などから産卵、抱卵に入っている可能性もある。福井県の助言を受け、地元住民らがビデオカメラを設置し確認作業に入る。

 国富で営巣が確認されたのは1966年5月以来。同推進会の宮谷和夫副会長(74)は「6月で会が発足し10年という節目の朗報」と喜び、昨年10月に亡くなった会長の宮川健三さん(享年85歳)に見てほしかったと語った。「悲願のひな誕生に向け静かに見守っていけるよう、地区民に協力を呼び掛けていきたい」と話している。

 同推進会や福井県自然環境課は、静かに2羽を見守りたいとして、むやみに近寄らないよう呼び掛けているほか、餌を与えないでほしいとしている。