福井鉄道の運転士、清水大輔さん(22)に、電車の運転の面白さや難しさを聞きました。
■車両の「癖」踏まえ運転
―運転していて楽しいことは?
ブレーキの利き具合や加速の速さは、車両ごとに「癖」があります。お客さまの人数や天候でも変わります。そういった状況を踏まえてうまく運転できたときは楽しいですね。
―福鉄の車両はいくつあるんですか?
フクラムやレトラムも合わせて14編成です。だいたい1時間に4本走っているので、車両はフル活用です。運転士は24人います。
―運転で気をつけることは?
路面区間があるので、並走する車に気をつけます。車の動きを先読みして、危なそうなら警笛を鳴らして電車の存在を知らせたり、ブレーキをかけたりします。特に右折車と、救急車や消防車といった緊急車両には注意します。
とにかく焦らず、平常心を保つように意識して運転しています。時間に追われて、ブレーキをかける距離が短くなりすぎると、止まる場所を通り過ぎる「オーバーラン」になってしまいます。
■運転前、くまなく目視で車両点検
―1日の仕事の流れを教えてください。
出勤したら、まず点呼をします。臨時列車の確認や、アルコール検査などを行います。その後、自分が乗る車両を駅で30分かけて点検します。点検が終わったら出発。1勤務で、越前武生駅と田原町駅をだいたい3往復しておしまいです。
―点検では何をするんですか?
車両をくまなく目視で確認します。特に大事なのは、車輪がついている「台車」の部分。異物があると脱線の恐れがあります。
―始発は朝早いですよね。
始発と2本目の電車の運転士は、駅に泊まって運転に備えます。越前武生駅の場合、午前5時50分発の普通電車が始発。5時過ぎに出勤するため、4時半には起きます。
■操作を体に覚えさせる
―運転はどうやって学ぶんですか?
「指導運転士」から操作を習い、体が覚えるまでひたすら運転します。お客さまを乗せずに、越前武生駅から田原町駅まで練習のために運転します。
―昔から電車が好きだったんですか?
物心ついたときから好きでした。駅のメロディーや、電車のモーター音が好きです。ずっと、何かを運転する仕事に就きたいと思っていました。小学校の頃は電車の運転士。中学校は、バスの運転手か郵便配達の人。そして高校を卒業後、福鉄に入社して電車の運転士になっています。
次回のお知らせ
次回インタビューするのは、弱った木を診断して治療する樹木医の籔内昭男さん。質問を募っています。投稿フォームから送ってね。締め切りは4月11日です。話を聞きたい県内の職業や人も募集します。送ってくれた人にはステッカーをプレゼントします。