オンラインで「産後うつ」の悩みに答える女性たち=3月7日、福井県福井市のクラフトブリッジ

 妊娠中や出産したばかりの女性が、新型コロナウイルスの影響で外出できず、悩みも打ち明けられないため、うつのような状態に陥るケースが増えている。筑波大学などの調査で「産後うつ」の可能性がある女性の割合は、新型コロナ感染拡大前の2倍になった。妊婦や「産後ママ」の心と体を整えようと、福井県福井市を中心にヨガ講師や心理士らがオンラインイベントを開催。「我慢せず、素の言葉で気持ちを吐きだして」とエールを送った。

 ■布団出られず

 福井市の女性(37)は昨年8月、3人目の子どもを産んだ。母親学級など病院の講座は軒並み中止。出産時の家族の付き添いも禁止され、出産後の面会はガラス越しだった。

 出産後、復帰した仕事はテレワークになり、外出機会もめっきり減った。体を動かすこともなくなり、体調不良になった。「2人目までの産後とは違い、心がすさんで、すぐにイライラした。足とか腰とか骨盤とか、体全体がボロボロという感覚。布団から出られない時もあった」

 友だちと会う機会が減ったという20代の妊婦=坂井市=は「心配事はネットで調べるが、マイナスの情報が書かれていると余計に不安になる」と話す。

 県外出身者は出産後、実家への「里帰り」ができないケースがあるという。

 ■夫婦げんかも

 一般的に「産後ママ」の約10%がうつになるとされる。一方、新型コロナ感染拡大後の昨年10月に筑波大学などが産後1年未満の母親約2千人にアンケートしたところ、うつの可能性がある割合は24%に上った。

 妊婦や「産後ママ」にヨガを教えている木下留美さん(48)=福井市=は、生徒から「この教室が救い」と言われたことがある。「うれしかったけれど、言葉にできない深い悩みがあるんだろうと思った」

 3月上旬、木下さんやカイロプラクティックの専門家、心理士らが開いたオンラインイベントには、県内外の約70人が参加した。専門分野からアドバイスを送り、参加した「産後ママ」は自らの経験を語った。

 認定心理士のやしろ恵利さん(46)=福井市=は「完璧主義の人、ばりばり仕事をしていた人、高齢出産、不妊治療経験者などは、うつ傾向になりやすい」と指摘し「気持ちをオブラートに包まず、素のままの言葉で吐き出すことが大事」と話した。

 「美容カイロのお店 エルトラスト」(福井、坂井市)の高間侑希さん(35)は「出産後は体が緩み、腰や首に痛みが出る。骨盤を正しい位置に戻すことで、体調が良くなるケースがある」と呼び掛けた。

 昨年12月に娘を出産した女性(37)=福井市=は「(妊娠中は)自己肯定感を高めるための日記を書いていた。コロナで孤独を感じると思うが、逆に一人の時間を磨くようにしている」と話した。「出産後、夫婦げんかが増えている」という参加者から対処法を尋ねられると、「『今から怒るよ』などと前置きしてから、話をするようになった」と答えた。