福井県産そば粉を使った冷凍十割そばを製品化した「櫻庭」の(左から)広瀬江奈美さん、梨恵さん、優里香さん=福井県福井市順化1丁目の同店

 福井県福井市の繁華街、通称片町のそば店「越前蕎麦dining櫻庭(さくらば)」(同市順化1丁目、広瀬江奈美代表)は、県産そば粉を使った冷凍の十割そばを製品化し、3月31日からECサイトで販売を始めた。新型コロナウイルスの影響で来店客が減る中、販路拡大のため、店を経営する3姉妹が試行錯誤を重ねて独自の製法を開発した。「県産そば粉の素晴らしさ、越前そばのおいしさを全国に広めたい」と意気込んでいる。

 櫻庭は越前そばと福井の地酒が楽しめる店として、2019年11月にオープン。当初は、つなぎ粉とそば粉の割合が2対8の「二八そば」を提供していた。新型コロナ感染拡大で昨年4月に休業を余儀なくされ、店主の江奈美さんは「生産者が熱い思いで在来種を守り抜く県産そば粉100%の十割そばをネット通販したい」と一念発起した。

 十割そばは二八そばに比べて賞味期限が短く、保存が難しい。「劣化の原因となる分解酵素の働きを抑制するには冷凍しかない」(江奈美さん)と製法を検討。県内のそば打ち愛好家や製麺所を訪ね、打ち方を研究するとともに、姉の梨恵さん、妹の優里香さんと3人で製法を練り、失敗を繰り返しながらも今冬に完成にこぎ着けた。

 製法は「企業秘密」(江奈美さん)だが、そば粉に水を混ぜる際の加水率や打ち方を工夫し、打ち立ての生そばを5分以内に冷凍するという。そばの切り方も従来の細麺から太めの平打ち麺に変えた。

 県食品加工研究所で1カ月間保存した冷凍生そばと打ち立てを比較したところ、麺の劣化や風味の変化は見られず、冷凍の方が食感がやや良いとの評価を得た。賞味期限は冷凍保存で1カ月の設定だが、民間検査機関の衛生検査で少なくとも3カ月間は品質が保たれる結果が出ているという。

 ECサイトで販売する冷凍生そばは無添加で、県内在来種のそば粉を100%使用。おろし、かけ、ざるの3種類を販売し、だしも付ける。いずれも2食入り(そば120グラム×2束)で3780円(税込み)。1日10セット程度の限定販売となる。解凍方法やゆで方の説明書も添付する。同店ホームページからECサイトへアクセスできる。

 十割そばは櫻庭の店内でも提供している。