これは不世出のジャズシンガー、ビリー・ホリデイの生涯を描いた映画『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』のサウンドトラック・アルバムです。

 映画でビリーを歌い演じたのはアンドラ・デイ、第78回ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門で主演女優賞を獲得しました。スティーヴィー・ワンダーにその才能を見出され15年にデビューした実力派のR&Bシンガーですが第93回アカデミー賞でも主演女優賞にノミネートされたとのことですから女優としての才能も本物といえます。

 そして演技にもまして素晴らしいのが彼女の劇中での歌唱です。天才シンガー、ビリー・ホリデイの歌をビリー以上にビリーらしく歌います。アンドラのヴォーカルの魅力はそのままにビリーの特徴を巧みにとらえた歌唱は物真似の域を超えたもの、ビリーが今そこにいるようなリアリティ感をもって歌でビリーを演じます。「オール・オブ・ミー」など彼女が愛唱したスタンダード・ナンバーはもとよりBLMソングの原点と言える「奇妙な果実」は必聴です。

(ワーナーミュージック・配信・輸入盤)=北澤孝