浚渫作業や竹垣の設置など整備を行った「岡の泉」=福井県福井市次郎丸町

東郷地区が仮オープンさせた駄菓子屋は3日間で約260人が来店した=2020年10月、福井県の福井市東郷公民館

 地域のまちづくり活動の資金を、ふるさと納税を活用して集める福井県福井市の「未来づくり創造ファンド」が設立された2020年度、岡保地区と東郷地区が挑戦した。同ファンドがクラウドファンディング(CF)サービスの手数料を負担するもので、両地区は福井新聞社と福井銀行、レディーフォーによるCFサービス「ミラカナ」を使い、ともに目標の100万円を大きく上回る寄付を集めた。資金を弾みに、自然環境の保全や定住人口増といった「地域ビジョン」の実現へ、大きな一歩を踏み出している。

 ▽岡保地区

 岡保地区は、地元の名水「岡の泉」=次郎丸町=の環境保全を打ち出し、120万円超の寄付が集まった。近年の豪雨の影響を受けた湧水量が減った同泉を整備することで、そこに住む貴重な生物を守り、地域内外の人が集まる場所にしたい考え。

 「岡の泉」は朝倉氏ゆかりの名水とされ、水をくみに訪れる人も多い。湧水量の増加を図ろうと、20年末に2日間かけて、土砂などを取り除く浚渫作業を行い、2月中旬から約10メートルの竹垣を設置したり、藤の木を植えたり、景観にもこだわった。寄付者の名前が書かれた木の札も設置した。

 岡保まちづくり委員会の泉和弥会長(60)は「寄付を受けて、泉を大切に思う方が多いと実感した。湧き水を味わうイベント開催などで地域内外の人が交流できる機会を増やしたい」と展望を語る。

 ▽東郷地区

 東郷地区は、児童と大人が一緒に運営する駄菓子屋のオープンを掲げ、160万円超の寄付が集まった。4月29日オープン予定。子どもたちのキャリア教育に地域ぐるみで取り組むことで子育て環境を充実させ、子育て世帯の転入増と定住人口増を図る。

 19年度末に策定した地域ビジョンで掲げ、21年度以降の着手を計画していたが、市の「ファンド」新設を受け予定を早めた。ロゴや看板の制作を進めたり、非接触型体温計を購入したりして準備を進めている。

 20年10月に3日間行った仮オープンでは児童20人が店番を担い、大人も含め約260人が来店する盛況ぶりだった。東郷ふるさとおこし協議会の藤井紀光会長(46)は「子どもたちがオープンを楽しみにしてくれている。将来東郷に帰ってきてくれるよう、東郷で育った記憶に色づけしていきたい」と話す。

 ■福井市、21年度も地区募集

 福井市の未来づくり創造ファンドは、クラウドファンディングの手数料を市が負担するため、地域のまちづくり組織は寄付全額を活動に充てることができる。寄付者への返礼品はまちづくり組織が用意し、20年度に寄付を募った岡保地区は「岡の泉」の湧き水で作った日本酒、東郷地区は地区産のコシヒカリや日本酒を贈った。

 地域ビジョンを策定した地区のまちづくり組織が対象で、市は21年度、5地区程度の採用を想定。4月にも募集を始めたい考え。市まち未来創造課の担当者は「ハード整備にも使えるので、今までできなかった取り組みを実現してほしい」と期待している。問い合わせは同課=電話0776(20)5230。