「テレワークで今年、本社に出てくるのはまだ3度目です」と話す青山満社長=2月10日、東京都渋谷区のセルリアンタワー

 GMOインターネットのグループ会社で、セキュリティーやクラウドホスティング事業を主力に企業、自治体向けに電子認証、電子契約などのネットビジネスを展開する「GMOグローバルサイン・ホールディングス」の青山満社長(福井県出身)に成長戦略などを聞く。

―コロナ禍の中、電子印鑑サービスが急成長している。

 「当社の電子印鑑GMOサインの導入企業は、国内で昨年9月末で約7万社。それが12月に14万社と一気に倍増、2月12日には16万社を超え、シェア日本一。コロナ禍で政府が脱はんこの旗を振り始めたことも追い風だが、もともと、電子認証は海外で急拡大してきており、電子署名は月間で200万件を超す勢いだ」

 ―そもそも電子認証とは?

 「電子認証局が発行する『電子証明書』を用いて、なりすましや情報の改ざんを防止する技術のこと。この技術により、押印を電子化し、電子的な書類に利用することができる。書類が改ざんされていないこと、契約の相手側が本人であることを証明する。世界で通用する電子認証局は5社しかなく、当社は唯一の国産認証局。世界シェアは3位」

 ―データでの契約だから、必然と署名やはんこも電子化される。その流れで先日、福井市と福井県が相次ぎサービス導入を決めた。

 「はんこが電子化されるだけでなく、いずれ請求書、領収書など商売上の書類はすべてデータ化される。さらに行政が発行する住民票など各証書類も対象で、この流れで法改正が進む。福井県以外でも東京都のほか福岡市など13自治体と脱はんこの実証実験に入ることで合意した。いずれ日本中の官公庁・自治体に広がる」

 ―コロナ禍前から社員のリモートワークに踏み切っていた。脱はんこの流れにも乗っている。なぜ時流の先読みができた?

 「脱はんこのサービスは当社が電子認証局であるということ、高いセキュリティーレベルのサーバー運用ができるノウハウを持っていることが強み。その技術を組み合わせた新しいビジネスとして、社員の提案で生まれたもの。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)が社会の在り方を変える、と考え5年前から、会社の存在意義や今後の成長、あるべき姿を議論している。それまでは目先の売り上げを伸ばすことに社員の目が向いていたが、今は長期的な視点で未来を考えられるようになった。働き方についても未来を見る発想が出てきた」

 ―次なる一手は?

 「IoT、つまり『もの』がネットとつながる流れ。例えばネットにつながる監視カメラ、偽のカメラと差し替えられたり、映像を改ざんされては安全を守れない。それを防ぐためにも認証が必要になる。既にこの分野に投資を始めている。さらに医療分野やドローンなどのデータ、映像もミスや犯罪につながると社会的な大問題に発展するだけに、認証サービスが欠かせない。IoTにはビジネスチャンスが無限にある」

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 景況に不透明感が漂い業種により明暗が鮮明化する中、首都圏で福井県出身や福井ゆかりの経営者、ビジネスマンが奮闘している。新型コロナウイルスの影響で変化する社会情勢を受け、さらなる成長や生き残りに向けて「どう動くのか」「次なる一手」を聞く。

 【あおやま・みつる】 福井県福井市生まれ。藤島高校、東海大学卒。東京航空計器を経て1996年、IT企業アイル(現GMOグローバルサイン)を創業、クラウド事業に乗り出す。96年から代表取締役社長。IT会社起業の原点は「明道中時代、周りの同級生に社長の息子がやたら多く、将来は自分も事業を起こそうと思っていた」と語る。54歳。

 ■GMOグローバルサイン・ホールディングス GMOインターネットのグループ会社で、セキュリティーやクラウドホスティング事業を主力に企業、自治体向けに電子認証、電子契約などのネットビジネスを展開する。国内外に子会社16社。2020年通期売上高は133億円。連結従業員は963人。東証1部上場。本社は東京都渋谷区。