マジックによる自己肯定感の向上をテーマに修士論文を仕上げた桑島康郎さん=福井県福井市の福井大学文京キャンパス

 アマチュアマジシャンとして活動する福井大大学院教育学研究科3年の桑島康郎さん(25)=福井県あわら市=が、子どもがマジックに取り組むことで自己肯定感の向上につながるとの修士論文をまとめた。「マジックセラピー」と名付け、不登校などの子どもたちへの効果も期待する。桑島さんは「“近代奇術の祖”である松旭斎天一(しょうきょくさいてんいち)を生んだ福井から、マジックセラピーを広めたい」と意気込んでいる。

 桑島さんは小学4年ごろからマジックを始めた。約150のレパートリーを持ち、福井市の繁華街・片町のバーやイベントなどで腕前を披露。大学院入学後は研究の一環として、県内の児童館でマジック教室を開催し、子どもたちを楽しませながら、マジックセラピーの研究に取り組んできた。

 論文の作成に向け、児童77人に対して48項目のアンケートを行い、マジックに取り組む前後の感情の変化を調べた。能動的に人前でマジックを披露することでストレスが軽減し、自己肯定感が向上するというデータを得ることができたという。

 不登校の子どもは自己肯定感が低い場合が多く、発達障害の児童もストレスを抱えやすい傾向があるといわれる。「マジックセラピーは、不登校や発達障害の子どもたちにも効果が期待できるのではないか」と推察する。

 4月から嶺北特別支援学校(坂井市)の教諭として働く桑島さん。「マジックセラピーを確立し、総合的な学習や少年院などでの更正プログラムとしての活用を目指す」と話した。

 指導した福井大の岸俊行准教授は「先行する研究がない中、一定の成果を出した斬新な研究」と評価。「今後もデータを重ね、マジックセラピーを確立してほしい」と期待している。