日本映画批評家大賞で主演男優賞に選ばれた俳優の津田寛治さん

 福井県福井市出身の俳優津田寛治さんが、主演映画「山中静夫氏の尊厳死」で末期がん患者と向き合う医師を演じ、「第30回日本映画批評家大賞」の主演男優賞に選ばれた。津田さんは「こんなに静かで小さな映画を見て評価してくれた人がいたんだと胸が熱くなった。心から感謝したい」と喜んでいる。

 映画は、医師で作家、南木佳士さんの同名小説が原作で、信州が舞台。津田さんは、中村梅雀さん演じる末期がん患者と向き合う医師役で、役作りのため、撮影までに13キロ減量して臨んだという。中村さんとのダブル主演で、ともに主演男優賞に選ばれた。

 撮影中は、減量のため「大きい声を出すだけでめまいがする」という状況で、中村さんの演じた患者の笑顔を見ると「この人が旅立つのをしっかり見届けよう、最後まで寄り添おうと思えた」と、自然と役に入れたと語る津田さん。「静かだけどとても熱量の高い現場だった」と振り返った。

 映画、ドラマと多くの役柄をこなしてきた津田さん。「役とどう向かい合うか、物語にどう入り込むか考えることが自分にとって重要になってきた」と話す。どんな映画に出るかよりも、若い頃のようにどう演じるかを考えるようになったとし、「50代も半ばになって新たな演じ方が見えてきた」とも話す。

 コロナ禍で、2020年2月公開の同作品も一部の上映館で公開中止になった。津田さんは「歯を食いしばって今の辛さを耐え忍んだ分、次に訪れる幸せは何十倍も大きいはず。皆さんにお会いできるのを楽しみにしています」とメッセージを寄せた。

 同賞は映画評論家の故水野晴郎さんが発起人となり1991年に始まった。主演男優賞のほか、作品賞に芦田愛菜さん主演の「星の子」が、主演女優賞にはのんさんがそれぞれ選ばれた。