十両昇進へ決意を示す舞蹴=埼玉県所沢市の二子山部屋(本人提供)

 大相撲の舞蹴(福井農林高校出身、二子山部屋)が3月14日初日の春場所で9場所ぶりに幕下へ復帰する。6勝1敗の先場所は「押し相撲が形になってきた」と確かな手応えをつかんだ。前回、幕下では故障に泣き、2場所で降格した。成長する22歳は幕下東59枚目から、十両昇進への道に再び挑む。

 1勝目、押し出し。2勝目、寄り切り…。先場所の決まり手で投げ技は1度しかなかった。身長177センチと角界では小柄。「四つに組むと分が悪い」と押し相撲に活路を見いだす。同じような上背で巨漢に立ち向かった朝日山親方(元関脇琴錦)が理想だ。「止まるな。攻め続けろ」。師匠(元大関雅山)の教えを先場所は体現できた。

 体幹も強くなった。新型コロナウイルス禍で対人稽古が減った昨春以降、筋力トレーニングを重視する。はたかれても前につんのめる場面が減り、先輩力士からも「強くなったな」と認められている。

 2019年の夏場所。初昇進を果たした幕下の土俵で苦汁をなめた。5勝1敗で迎えた最後の7番相撲。すくい投げを受け右足首をひねった。「けがは言い訳にならない」と故障を抱えて出た名古屋場所は1勝6敗と大きく負け越した。「がっくり来た。自分の心の弱さ」。降格後は黒星が増えた。

 昨夏、福井から届いた手紙を大切に保管している。「舞蹴さんを家族で応援しています」とあった。声援にも背中を押され、少しずつ平常心を取り戻した。「教わったことを土俵でぶつけるだけ。勝ちを焦り過ぎていた」。苦境を越えたくましくなった。

 新弟子が続々と入り、稽古で胸を貸す機会が増えた。「いつまでも若いと言っていられない」。県勢で湊川親方(元小結大徹(だいてつ))=福井県大野市出身=以来となる関取へ。持ち味の押し相撲のように、一直線に進む。