コロナ禍で、ペットショップでの子犬・子猫の販売数が倍増しているとされる(イラスト:黒川ツナ子 )

コロナ禍で苦しんでいるのは人間だけではありません。ペットも大きな影響を受けています。

テレワークや自粛で自宅での巣篭もり需要が増えたことから、ペットショップでは子犬・子猫の販売数が昨年の2倍に増えたとのニュースがありました。

ショップに並んでいる子犬や子猫に群がる人たち。
そんな人々のインタビューをテレビで最初に見た時は、大きく肩を落としてしまいました。
なぜかというと、、、私たちEvaは、「飼う前に考えよう。『動物を飼う』ということは、その動物の命を預かるということ。あなたは15年から20年、動物がその命を終えるまでお世話できますか?」と飼育放棄を増やさないために以前より啓発に努めてきたからです。

けれど、ペットを購入する人たちへのインタビューで聞こえてきた声は、、、
「家に長くいることでヒマを持て余しているから」
「学校が休校になったので、子どもの遊び相手として」
「子どもの思い出づくりになればいいなぁと思って」
そんな無責任に感じるものばかりでした。
また、ストレスが溜まっているからと、癒しを求めてペットを購入する単身者も少なくないようです。

コロナ需要を前にしては、地道な啓発では力及ばずです。

もちろん、たとえどんな動機でも、家族の一員として最期のその日まで、大切にしてくれるならいいと思います。でも、やはり危惧していたとおりでした。遺棄される犬・猫が急増したと、その後の報道で知りました。購入後1週間で飼育放棄するケースもあるのだとか。行政の動物管理センターに持ち込まれたり、「心優しい方よろしくお願いします」と首にメッセージの書かれた札をぶら下げた犬が道端に遺棄されていたという事例も取り上げられていました。どんなメッセージを添えようと、動物の遺棄はれっきとした犯罪です。

他にも、無料広告掲示板ジモティーなどで、犬を譲渡したいという広告をいくつか見つけたことがあります。ある人の理由には、コロナでテレワークになり家にいる時間が増えたので癒されたくて50万円で犬を衝動買いしてしまいました、と書かれていました。テレワークが解消され出勤しなければならなくなったので犬の面倒がみられなくなった、というものでした。あまりに身勝手な理由です。その愚かさに呆れ果てました。
テレワークがずっと続くと思っていたのでしょうか!?
ということは、コロナ収束後のこともまったく考えていないということです。
おそらく、命を命とも思わず、まるで縫いぐるみかロボットを購入するような感覚で衝動買いしたのでしょう。

命ある動物のお世話には手間がかかること、それが10年以上も続くことは想像できたはず。それでも衝動買いするのは、命への責任より目の前の自分の快楽を優先したとしか思えません。人間には往々にしてそういうところがあるように思います。

ペットショップは、どんなお客にも動機など気にかけることなく販売します。そもそも衝動買いさせるためのビジネスモデルなので、コロナ禍は利益を上げる絶好の機会となりました。
一方、商品である犬や猫は、身勝手な人間の犠牲になり遺棄され、次の飼い主に譲渡されなければ殺処分という最悪の結末が待っています。動物の命への軽視が安易なペットの購入につながり、飼育放棄や遺棄を生み出しています。こうした悲劇の元凶であるペットビジネスの構造にはほとほと嫌気が差します。このビジネス構造の問題については、またいつか別の機会に詳しく書きたいと思います。

そして、コロナ禍でのペットビジネスの問題は、子犬・子猫の展示販売だけではありません。
同じくヒマを持て余した人たちを相手に、レンタルペットも大流行りしていたそうです。
信頼している人といることで安心感を得るペットが、知らないお家にレンタルされる不安な気持ちを考えてほしいものです。性格の個体差はあるものの、動物にとってはかなりのストレスです。
レンタルなんて、DVDじゃあるまいし、感受性ある繊細な動物を使ってやるべき商売じゃないと思います。
それに、レンタルする人がどんな人なのか、パッと見でわかるはずもありません。動物を扱う最低限の知識はあるのか、虐待目的ではないのか、そんな心配を真剣にしていたら、とても出来る商売ではないですよね。
動物保護団体が里親さんに犬・猫を譲渡する時、とても神経を使うところです。特にペットと暮らしたことのない初心者の方には時間をかけてさまざまな説明をします。事業者が、そんな時間と労力をかけて数時間のレンタルに丁寧に対応しているとはとても思えません。

こうやって、ペットがあらゆる形で商品として市場に出回っている以上、消費者が気軽な気持ちで、それを購入したり利用したりすることは避けられません。だから、どうしても無責任な飼い主を増やしてしまいます。

ペットを迎える前に、どうか冷静に考えてください。
15年から20年、最後までお世話できるか、ご自分の年齢はどうですか?
犬は体のサイズや犬種や年齢によって必要な運動量が違います。充分に運動させてあげられる環境や生活スタイルですか?

猫は高いところが大好きです。高いところに上がっていたずらしても、寛容な心で笑って許せますか?
猫の爪研ぎはけっこうな破壊力。傷つけられたくなかったら壁やソファを自分でシートなど貼って対策を。猫の本能なので、猫にはなんの罪もありません。

当たり前ですが、生きているからオシッコもウンチもします。犬も猫も、ときには粗相することだってあります。
こんなはずじゃなかった、、、
思っていたのと違ってた、、、
そんなふうに思わないよう、どんなこともすべてに対応していけますか?

そして、人と同じように病気にもなります。人より遥かに早いスピードで歳をとります。
将来、看病や介護が必要になっても、大切な家族として、その労力や時間を惜しみなく費やすことができますか?
医療費もたくさんかかります。

こういうことをすべて理解して、愛情をもってその責任をまっとうできる人。
そういう人だけが、ペットと幸せに暮らすことができるのです。
言葉が話せないだけで、人と同じようにいろんな感情をもっています。
そんな感受性豊かな動物を不幸にしてしまうのは、とても罪深いことです。
飼い主が幸せになることより、ペットを幸せにできるかを考えてほしいのです。
なぜなら、ペットが幸せじゃないと、その暮らしの中で飼い主の幸せなんてあり得ないからです。
自分が「癒やされたい」「楽しみたい」なんていう、一方的な思いでは、お互い幸せになれません。言葉が話せない分、より注意深くその気持ちや状態に配慮が必要です。

最期のその時まで、慈しみ愛情いっぱいにお世話すること。
その覚悟なしにペットと暮らすことは、絶対にやめていただきたい!
お互いにとって不幸なだけですから。

⇒【関連】杉本彩さんが動物保護活動を始めた理由

無責任な飼育放棄をする人は、まるで仕方なかったかのような言い訳をします。
時には、多少感じている罪悪感から、その責任を問われた時、逆ギレするような人もいます。
また、次の飼い主に自力で繋ぐことができなかった時には、保健所に持ち込み殺処分を押しつけてきました。本来なら自らの責任で動物病院に依頼して薬物による安楽死に立ち合うという選択もあったはず。多くの人がそんな覚悟も苦渋の決断もないまま、いとも簡単に行政に殺処分を押し付けその罪から目を背けてきました。
現在は法律の改正により終生飼養が義務づけられたので、そう簡単には保健所も引き取ってくれませんが、だからと言って、不幸な行き場のないペットたちが減ったわけではありません。

命への責任という人の倫理が問われるペットとの暮らし、、、。

私はこう思います。
自ら選択した行動は、良いおこないも悪いおこないも、回り回って自分に返ってくる。
「無責任な飼育放棄」という、自分の罪から目を背けても、どんなに正当化して自分や他人を誤魔化せても、お天道様は見ていると、、、。

(Eva代表理事 杉本彩)

※Eva公式ホームページやYoutubeのEvaチャンネルでも、さまざまな動物の話題を紹介しています。

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 杉本彩さんと動物環境・福祉協会Evaのスタッフによるコラム。犬や猫などペットを巡る環境に加え、展示動物や産業動物などの問題に迫ります。動物福祉の視点から人と動物が幸せに共生できる社会の実現について考えます。