介護事業所で体を動かす高齢者=福井県越前市高木町のほっとリハビリシステムズ

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、福井県内でも高齢者施設の利用を控える傾向がある中、高齢者が転倒し骨折するケースが目立ってきている。自宅で過ごす時間が増えたことによる運動不足が一因とみられ、介護事業者は「感染対策に加え、体を動かすことに意識を向けてほしい」と警鐘を鳴らす。

 県内外で介護事業所を運営する「ほっとリハビリシステムズ」(本社越前市)の施設では、2020年4月の緊急事態宣言発令時から要支援者や軽度の要介護者の利用控えが急速に進んだ。特に施設がある市町や高齢者施設で感染が確認されると利用控えが増えるという。

 日本理学療法士協会理事を務める同社の松井一人社長によると、高齢者の運動不足は、体のさまざまな機能が低下する「廃用症候群(生活不活発病)」につながる。筋肉の衰えや関節の動きの悪化のほか、立ったり歩いたりする機会が減ることで骨も弱くなる。

 廃用症候群を発症すると、わずかな段差でもつまずいて転倒しやすくなる。同社の施設で今年1月に計12人が転んで足や手首の骨を折り、松井社長は「今までに経験がないほど多い」と話す。転倒骨折の3割は寝たきりになるとされ「運動機能の回復には時間と労力がかかる。運動を続けることが極めて重要」と強調する。

 同社の施設では、寝転んだまま手足の指を開いたり閉じたりする動きや、座った状態でおしりで歩くように動く全身運動などで、バランスを保つ力や筋力、持久力を維持するよう呼び掛けている。

 「コロナ禍前と同じような感覚で日常を過ごすと転倒骨折が増え、いたずらに要介護者が増えていくのではないか」と松井社長。高齢者は新型コロナの重症化リスクが高く、利用控えの傾向が続くとみており、「自宅での運動をどう促していくかが課題。感染対策をした上で、公民館などでの地域コミュニティー活動を活性化することも重要」と指摘した。