【越山若水】「インド独立の父」と呼ばれたマハトマ・ガンジー。非暴力・不服従運動で世界史に名前を刻む人物だが、その転換点となった出来事が英国の塩税に抗議する「塩の行進」である▼酷暑のインドでは塩は大量に消費される重要産物。しかし英国は塩の製造・販売を独占し高い税率をかけた。まさに搾取の象徴だった。1930年、ガンジーらは自分で塩を作るため380キロ離れた海岸へと行進を開始。当初約80人だった支持者は数千人に膨らんだ▼これを契機に機運が高まり、47年ついに独立を果たした。ガンジーは後にインド総督のアーウィン卿と会談したとき、紅茶に砂糖かミルクどちらを入れるか問われ塩を所望したという。彼の非暴力運動は世界中に影響を与え、米国キング牧師は公民権運動を推進した▼もう一人、ガンジーに感銘を受けた人がいる。ミャンマーのアウン・サン・スー・チー氏だ。母親のインド大使就任に同行しガンジーの思想に共感。半世紀も続いた軍事政権に対し民主化運動を指導し、91年にノーベル平和賞受賞、2011年に民政移管を達成した▼現在は国軍のクーデターで再び拘束されており、スー・チー氏の解放を求める市民の抗議デモが全土に広がっている。治安部隊の発砲で3人が死亡したことで、労働者が職場を放棄するゼネストにまで発展。「民主化の行進」は勢いを増す一方である。

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