レギュラー奪取に向け、黙々とバットを振る今井士温選手=福井県敦賀市の敦賀気比高校

 選抜高校野球大会(3月19日開幕・甲子園球場)に5年ぶりの出場を決めた敦賀気比は、福井県外からも実力者が多く集い、レギュラー争いは激しい。その中で、今井士温(しおん)内野手(2年)=福井市足羽一中出身=は昨秋、背番号14を付け、県大会と北信越地区大会で途中出場ながら結果を残しアピールした。父親は控えながら選抜に出場した元高校球児で、親子2代で夢舞台に立つ。「レギュラー番号を背負って甲子園でプレーする」。父親越えを誓い、黙々と力を高めている。

 今井選手は父、陽平さん(45)=福井市=の勧めで小学3年から野球を始め、中学時代は硬式野球チーム「オールスター福井」でプレー。3年時には中日本選抜メンバーに選ばれた。チームOBで、2015年春の甲子園で全国制覇を果たした平沼翔太選手(日本ハム)に憧れ、敦賀気比の門をたたいた。

 最初は練習についていくのが精いっぱいで、周囲のレベルの高さを痛感。「同じ練習をしていてもだめだ」と、自主練習は最後まで残ってひたすらバットを振り、アピールポイントの打撃力を上げた。努力と成長が認められ、昨秋の公式戦で初めてベンチ入りした。北信越地区大会準々決勝では八回の守備から一塁手で出場し、同点の九回に二塁打を放って勝ち越しをお膳立てした。秋の公式戦は7打数4安打4打点と起用に応えた。

 冬場は長打力を身に付けようと一日最低千回はバットを振り、寮での夕食はご飯をラーメン鉢で2杯以上食べて体づくり。体重は昨秋から5キロ以上増え、打球は鋭さを増し、飛距離も伸びてきた。3月6日からは対外試合が解禁され、実戦の場が増える。東哲平監督は「レギュラーをとれるくらいの実力、結果を残してほしい」と期待する。

 陽平さんは、兵庫・川西明峰高校出身。1993年の選抜大会に背番号15でベンチ入りし、試合途中から三塁を守った。現在は、敦賀気比高校野球部の父母の会会長を務め、よく練習を見学していたが、今は新型コロナウイルス対策で今井選手と直接会って話せない。LINE(ライン)でやりとりして厳しい練習に打ち込む息子を励まし、「敦賀気比に入って格段に勝負強くなった」と成長する姿がたくましく映る。

 「以前は一桁とれよと言っていた。けれど選抜では背番号に関係なく、出たときに自分の役割を果たして勝ってほしい」と陽平さん。今井選手は「レギュラーになって父の前で活躍する姿を見せたい」。スタメン奪取へ、バットを振り続ける。