インナーマスク

 今年もスギ花粉の飛散シーズンがやってくる。花粉症と新型コロナウイルス感染症は症状が似ていて、顔を触る機会が増えれば感染リスクが高まる、と気に掛けている人も多いだろう。福井県内の専門医は、重症者向けの治療薬が使えるようになったことなども踏まえ「飛散ピークが来る前に症状を抑える準備を」と指摘。未発症の予備軍に対しては「特に未成年は、できる範囲でマスクなどの対策を継続し発症を防いで」と話している。

 ■予測にばらつき

 環境省のスギ雄花の花芽調査(昨年11~12月)では、県内の着花状況は過去10年間の平均値と比べ84%、前年比では76%。県衛生環境研究センターの担当者は「総飛散量は例年よりは少ない傾向といえるだろうが、天候が大きく影響するため、前年比は断言しにくい」とする。

 一方、気象情報会社ウェザーニューズ(千葉市)の県内予測は平年比73%だが、前年比は214%。2月下旬から5月上旬が花粉シーズンと予想している。

 福井大医学部耳鼻咽喉科・スギ花粉症対策室の坂下雅文医師は「どんな予測が出ていてもあなどらず、前年より増えると想定して十分な準備を」と助言する。

 ■マスクはすき間なく

 花粉症の主な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目やのどのかゆみを繰り返す。「高熱や、ねばっとした鼻汁、黄色い濃い鼻汁があれば新型コロナの可能性があるが、症状によって判別が難しい場合がある。まず花粉を吸い込まないのが第一」と坂下医師。「20歳前後まで予防できれば、以降の年代の新規発症率は低くなる」と結論づけた論文を示し「生徒児童は天気の良い日の登下校時、できるだけマスクを着け花粉予防をしてほしい」と話す。

 外出時に眼鏡やゴーグルを着ける▽洗濯物を室内に干す▽帰宅時に上着を脱ぎ生活空間に持ち込まない―などを徹底するほか感染症対策と同様、マスクをすき間なく着けるのがポイントだ。坂下医師は鼻うがいや、ガーゼを重ね市販のマスクを補強する「インナーマスク」も推奨する。

 ■抗体製剤の適応拡大

 重症の花粉症患者には2019年12月から新たに使える薬が増えた。

 花粉症は、体内に花粉が侵入すると「免疫グロブリン(IgE)抗体」が作られて抗原と結合し、鼻粘膜の肥満細胞が反応。ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されると発症する。ヒスタミンなどの働きを阻害する抗ヒスタミン薬が一般的だったが、気管支ぜんそくなどに使われている抗体製剤「オマリズマブ」の適応が花粉症治療にも拡大された。IgE抗体と肥満細胞の結合を阻害し、ヒスタミンそのものの放出を抑えるという。

 ただし、オマリズマブを使用できるのは12歳以上で、花粉症の症状が重いと医師が判断した人に限られる。坂下医師は「主治医とよく相談し、治療方針を決めてほしい」と話している。

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