職場でのマスク着用について語る原告男性=2月16日、神戸市

 健康上の不安があるのに職場の新型コロナウイルス対策でマスク着用を強いられて肺機能障害を負い、長時間の着用が難しいことを理由に勤務時間を制限されたとして、神戸市の男性会社員が2月19日、勤務先の会社に慰謝料や未払い賃金など計340万円の支払いを求め大阪地裁に提訴した。

 訴状などによると同社は昨年3月以降、新型コロナ対策で業務中のマスク着用を社員に指示した。男性は大阪府豊中市の事業所でクレーム品の報告書作成などを担当。アレルギー体質のため着用時の頭痛や息苦しさを訴えたが、着用を命じられ、症状悪化により休みや早退が増えた。

 男性は同7月に医療機関で、肺が広がりにくい拘束性換気障害のため「マスクは1日約2時間まで着用可」と診断された。その後会社から1カ月の自宅待機を命じられ、同9月下旬以降はマスクを着けた上で勤務は2時間以内とされた。マウスガードなど代替品の活用や、在宅勤務導入の提案は認められなかった。

 男性の給料はそれまでの平均の約6割に減り、手取りが10万円を割る月もあった。取材に「あと数カ月で生活が破綻する。1日2時間以内の勤務という措置以外に働き方の選択肢はあるはずだ」と話している。

 原告側代理人の小谷成美弁護士は「今の世の中でマスク着用ルールは仕方がないが、健康被害が出ている人にまで強要し、代替措置をほぼ検討しないのは逆に安全配慮義務違反といえる。個別の事情を考慮するべきだ」と指摘する。

 会社側は「(男性が所属する)労働組合との団体交渉で協議中の事項であり、回答は差し控える」としている。