新館閉鎖に伴い本館を大規模改装する西武福井店=2月12日、福井県福井市大手3丁目

 新型コロナウイルス禍による衣料品販売の低迷などで全国の百貨店が苦境にあえぐ中、西武福井店(福井市中央1丁目)は大規模改装を進め、新館に入るロフトなどを本館に集約することで“心機一転”を図る。「コロナ禍の中でも長期的に集客効果が期待できる食品、専門店領域を強化」(同店広報)し、福井県内唯一の百貨店として成長軌道に乗せたいとする。

 コロナ禍で百貨店の衣料品販売は不振が続き、アパレル大手のレナウンが経営破綻し、オンワードホールディングスは連続赤字。両社が展開する各ブランドが西武福井店からも撤退した。これまでのアパレルを中心とした百貨店の営業形態は岐路に立っている。

 西武福井店の売上高は、昨年4月の緊急事態宣言で食品売り場を除いて臨時休業した期間は厳しい数字となったが、6月以降は今月まで前年同期比9割前後で推移している。「外商による底支え効果が大きい」(同店広報)ほか、食品売り場が巣ごもり需要で前年超えと好調。コロナ禍で苦戦する百貨店の中では健闘している。

 そごう・西武の本部が同店の大規模改装への投資を決めたのは、新館閉鎖に伴う本館集約とともに、この“底力”が背景にあったとみられる。

 大規模改装では、若者層に人気のロフト、無印良品といった大型テナントを取り込み、「百貨店と専門店のハイブリッド型店舗として、若い世代にも日常的に便利に使ってもらいたい」と同店広報。一方、改装後の婦人服売り場は、コロナ禍前と比べて21ブランドが撤退・退店したこともあり、同フロアの面積を縮小し、新規テナントの入居スペースを確保した形だ。

 “成長分野”と位置付ける食品も拡充。1階に菓子売り場を設け、週替わりで全国の銘菓が楽しめるコーナーを新設。福井市の洋菓子店「パティスリーハシモト」の新規入店など地元スイーツも充実させる。「(1階の)化粧品と菓子の組み合わせは集客面でプラス効果」(広報)という。

 一方、閉鎖後の新館は、ビル所有者の不動産会社が新たなテナントを募り、2022年春をめどに商業ビルとして再開したい考え。同店広報は「本館と結ぶ連絡通路や地下通路は残しており、ぜひとも連動していきたい」と期待を込めた。

 JR福井駅西口周辺は、北陸新幹線県内延伸と通称「三角地帯」の再開発が1年遅れの24年春となり、3年間は駅西から客足が遠のくことが懸念される。同店広報は「行政、周辺商店街と連携した活性化の取り組みで駅西への客の流入を維持したい。西武福井店としても新たな成長戦略の中で営業努力していく」と強調した。