歯の再生治療につながる中和抗体について説明する福井大学医学部の菅井学教授=2月12日、福井県福井市の福井大文京キャンパス

 福井大学と京都大学などの研究チームは2月12日、世界初となる歯の再生治療薬につながる中和抗体の開発に成功したと発表した。中和抗体によって歯の発生を抑制しているタンパク質が無効化され、口内に余分にある歯の原基を成長させる効果をマウスなどの実験で確認した。先天性無歯症の治療に加え、虫歯などで永久歯が失われても後継となる歯を形成できる治療法の確立を目指す。

 福井大医学部の菅井学教授(分子遺伝学)や高橋克・元京都大大学院准教授(分子生物学)ら研究チームが着目したのは、歯の発生を抑制しているタンパク質「USAG―1」。マウスの実験で「USAG-1」を遺伝的に除去すると、先天性の過剰歯になることを発見。口内には歯の基になる細胞である原基があり、これらが活性化したことが分かった。

 研究チームは、「USAG-1」の働きを抑える中和抗体「抗USAG-1抗体」を開発し、先天性無歯症のマウスへの投与で歯の形成を確認。永久歯の次の世代となる第3生歯の形成を誘導することも別の動物実験で実証された。

 両大によると、生まれつき歯が生えない先天性無歯症の患者は全人口の0・1%。成人になってから義歯やインプラントの処置をするしかなく、根本的な治療方法の確立が望まれている。

 ヒトへの効果については、臨床応用などで今後研究を進める。一般の歯科治療への適用も視野に入れ、高橋元准教授は「乳歯、永久歯の後に、もう一つの歯を形成できる可能性がある。高齢者のオーラルフレイル(口腔(こうくう)機能の衰え)の改善に役立つのではないか」と指摘。菅井教授は「USAG-1に関する実験で効果が得られたことは大きなブレークスルー(突破口)になる」と述べた。

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