記者会見で質問に答える小林化工の小林広幸社長(中央)=2月9日、福井県あわら市の同社本社

 福井県あわら市の小林化工が製造する爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入した問題で、福井県は2月9日、医薬品医療機器法に基づき同社に116日間の業務停止命令を出した。期間は2月10日から6月5日まで。県によると、同社は延べ約500製品の約8割で虚偽の製造記録などの「二重帳簿」を作成。一部の品質試験を40年以上前から行わず、結果を捏造していた。長年にわたる組織的な関係法令違反を小林広幸社長ら経営陣は黙認していた。

 116日は、県の処分基準で定めている業務停止期間の上限。国内での医薬品メーカーへの行政処分としては過去最長。小林社長は9日、引責辞任の考えを示した。具体的な時期は明言を避けた。

 県によると、同社が矢地工場と清間工場で製造する延べ約500製品のうち、県の立ち入り検査時に見せるための虚偽の製造記録や承認外手順書など二重帳簿の作成が約390製品、国の承認内容と異なる工程での製造が約180製品あった。一部の品質試験の未実施は1970年代終わりごろからで、二重帳簿作成と承認外工程は遅くとも2005年には行われていた。

 混入があったのは経口抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」の一部ロット。県は同錠の製造について▽2人で行うべき原料取り出しを人員不足により1人で実施▽承認外手順書が存在▽国が承認していない原料のつぎ足し▽虚偽の記録作成▽一部試験の未実施と試験結果捏造―などの実態があったと結論付けた。承認された方法から逸脱した製造や二重帳簿を「経営陣、製造管理者は黙認していた」と認定した。

 県庁で9日、窪田裕行・県健康福祉部長が小林広幸社長に行政処分の命令書を手渡し「全社挙げて再生のために力を尽くしていただくよう期待します」と述べた。

 県は、法令順守や製造・販売に関連する業務体制の見直しなどを求める業務改善命令も出した。事業再開時期は、今後提出される業務改善計画の内容を踏まえ検討する予定で「業務改善が完了しなければ出荷再開はできない」としている。

 小林化工によると8日時点で、混入した錠剤を服用した239人から意識障害などの健康被害の報告があり、70代女性と80代男性の2人が死亡した。