明治期の北陸線開通について記した石碑の説明をする長谷川勲さん=福井県あわら市春宮1丁目

 北陸新幹線の芦原温泉駅(福井県あわら市)開業を前に、同市の歴史探究同好会「郷土史学習会」はこのほど、JR芦原温泉駅近くにある明治期の北陸線開通について記された石碑について、独自の解釈で解読し「北陸線開通の歴史」として執筆した。石碑からは鉄道事業による地域発展への期待感がうかがえるとしている。

 同好会は2010年に旧芦原、旧金津の両町がお互いの歴史を知る目的で発足。当初は30人ほどが所属し、勉強会や講演会を通して郷土史の探究や紹介を行ってきた。現在は個人での活動が主となっており、元あわら市文化財保護委員の長谷川勲さん(76)が15年から石碑の解読と執筆を進め、改訂版を20年10月に完成させた。

 石碑は1901(明治34)年に建立。芦原温泉駅から西に200メートルほど離れた竹田川近くにある。私有地内だが外から見ることが可能。高さ2・5メートルのしゃくだに石に「仲仕組(なかしぐみ)創立紀念之碑」と彫られている。

 碑文の作者は、旧福井藩士の儒学者で漢学者の富田久稼とみられ、文字は風化による欠落もあり、歴史的背景や思想を考慮して文脈から推測した。

 石碑には、1897年9月に北陸線小松―福井間が開通し、金津駅開業に伴い民間運送会社の「仲仕組」が設立され物流が一変したことなどが記されている。海運から陸運への転換期となったことや、殖産興業を支え地域発展に貢献する鉄道の未来への期待感なども盛り込まれている。

 長谷川さんは「石碑は明治の激動期につづられ、当時の世相や運送業における革命を知ることができる貴重な史料」とし、「地域の歴史を残し伝え、さらに北陸新幹線開業の効果について考えるきっかけになれば」と話している。A4用紙60枚に解釈をまとめた。

 石碑は2018年に市の文化財に指定されている。市郷土歴史資料館の林淳学芸員は「仲仕組に関する記述はどの文献にもない。地域の忘れられた歴史を掘り起こすことは、とても意味がある」と話した。

 多くの人が見られるよう、石碑はJR芦原温泉駅西口に移転される予定。

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