「先輩たちのためにも」と思いを一つに練習に励む敦賀気比ナイン=1月29日、福井県敦賀市の敦賀気比高校野球部室内練習場

 昨年夏、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国高校野球選手権と出場権を懸けた地方大会が中止となった。甲子園の夢は絶たれた。それでも前チームの3年生たちは福井県高野連の独自大会で県ナンバーワンになった。強い敦賀気比の姿を間近に見た現ナインの思いは強くなる。「3年生の分まで甲子園に出る」―。この気持ちが、5年ぶりのセンバツ出場への大きな原動力となった。

 「頑張れよ」「おめでとう」―。昨秋の大会期間中、主将の大島正樹は3年生から毎試合のように励ましや勝利を喜ぶ声を掛けられた。「助かったし、大きな力になった」と感謝する。

 昨秋の北信越地区大会準々決勝と準決勝は終盤まで敗色濃厚。だが、選手は誰一人あきらめなかった。「絶対に甲子園に行く」。強い思いは大きな力となり、劣勢をひっくり返した。大島は言う。「先輩の分までやってやろうと思えた。精神的に強くなれた」

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 新型コロナはチームづくりにも大きく影響した。新チーム発足後の練習試合は例年の3分の1程度。全国で感染が広がり、県外遠征で甲子園常連校と相対することもできなかった。前チームでレギュラーだったのは大島と中軸の前川誠太、沼田航の3人。チームは実戦経験が不足していた。東哲平監督は「不安の中、手探りで大会に入っていった」と振り返る。一方、前川は「しっかり振り込みができ、自分の課題に向き合えた」。選手たちは厳しい環境の中でも、できることに集中し力を伸ばした。

 「一戦一戦力をつけて勝ち上がった。精神的にはちょっとずつ強くなってきている」と指揮官。夏は控えだった1番東鉄心は「不安はいっぱいあった」が、北信越地区大会でサヨナラ打を放つなど「苦しい展開で勝てて大きく成長できた」と確かな手応えをつかんだ。

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 5年ぶりにつかんだ春の舞台。先輩たちも自分のことのように喜ぶ。プロ野球巨人に入団した前エース笠島尚樹は「出るからには勝ってもらいたい」、前4番で西武の長谷川信哉は「僕たちの思いも背負ってまず1勝を」とエールを送る。大島は「3年生の分まで必死に戦いたい」と決意を新たにする。聖地で大暴れする姿を先輩たちに届ける覚悟だ。

■敦賀気比の公式戦成績

【秋季福井県大会】
1回戦  ○2―0坂井
2回戦  ○10―1啓新(八回コールド)
準々決勝 ○8―2金津
準決勝  ○10―3北陸
決勝   ○12―5福井商業

【秋季北信越地区大会】
1回戦  ○5―0富山北部・水橋
準々決勝 ○7―4新潟明訓
準決勝  ○5―4関根学園(新潟)
決勝   ○16―5上田西(長野)