子宮体がんがリンパ節に転移しなかった患者(左)と転移した患者のPETによる検査画像。黒い部分でタンパク質の量の違いが分かる(福井大学提供)

 福井大学は1月27日、正確な判断が難しいとされる子宮体がんの進行度や転移、再発のリスクを画像検査で予測できる可能性があることを確認したと発表した。「手術や術後の抗がん剤投与の必要性などを見極め、より個々に応じた治療の選択につながる」とし、症例を増やすなど研究を継続し実用化を目指す方針。

 同大の研究チームによると、子宮体がんと診断された場合、現在は腫瘍の組織を採取して検査している。腫瘍のごく一部しか調べられず、転移や再発を正確に予測することが難しかった。

 このため、転移の可能性を考慮し子宮摘出に加えて、早期と診断された場合も約7割で骨盤内のリンパ節も切除している。術後に足全体のむくみや合併症が生じるリスクがあるが、実際に転移するのは数%程度で切除が不要な場合も多い。また、手術後に再発リスクが低いとされた患者が、早期に再発してしまうこともあるという。

 子宮体がんの約8割は、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが原因とされる。福井大は以前から、特殊な薬剤を患者に投与し、陽電子放出断層撮影装置(PET)を使ってエストロゲンと結びつくタンパク質の量を調べ、腫瘍の悪性度や治療効果を判定する研究を進めてきた。

 今回は同意を得た患者67人を対象に、同様の手法でがんの進行度や転移、再発を予測できるかを研究。その結果、このタンパク質が少ないと、転移や再発の可能性が高く進行も速い傾向が分かった。

 研究成果をまとめた論文が米医学誌の電子版に掲載された。福井大産科婦人科の山田しず佳特命助教は「画像検査でリンパ節切除の必要性などが予測できれば、患者の負担軽減や生活の質の維持につながる」と説明。吉田好雄教授は実用化にはまだ時間がかかるとし、「今後は症例数を増やして信ぴょう性を確認していきたい。海外の大学などとも連携し、国際共同研究としてやっていければ」と話した。