福井県立恐竜博物館=福井県勝山市

 福井県立恐竜博物館(福井県勝山市)は1月26日、同館の研究者らのグループが、世界で初めてクジラ類の耳骨の構造を解明したことを発表した。ほかのほ乳類と同じ基本構造を備えていることが分かったといい、米国の解剖学の学術誌「アナトミカル・レコード」の電子版に論文が掲載された。

 論文を発表したのは、海生ほ乳類の研究者で同館研究・展示課の一島啓人課長ら3人。マッコウクジラやシャチなど7種のクジラ類の耳骨についてコンピューター断層撮影(CT)を行い、詳細な構造を調べた。

 一島課長によると、クジラ類の耳骨は数センチ程度しかなく「これまで研究はほとんど進んでおらず、一般的なほ乳類とは異なると理解されていた」と説明。具体的には、平衡感覚をつかさどる三半規管について、その構成部位の一つ「前半規管」へ脳からの神経をつなぐ経路「上前庭野(じょうぜんていや)」が確認されていなかったという。

 今回の研究で詳細な分析を行ったところ、これまで別の部位の「後半規管」へつながると考えられていた経路が、前半規管につながる上前庭野だったことが判明。後半規管への経路も別に見つかり、ほかのほ乳類と同様の構造だと分かった。

 一島課長は「正しい構造が分かったことで、進化などの研究のスタートラインにようやく立てた」と指摘。クジラ類は進化の過程で陸生から水生になったことで知られており「そうした生態の変化などを調べていく上で、今回の研究が役立っていけばいいと思う」と話した。

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