30代の娘のことで相談です。随分前から背骨がゆがんでいて、さらに右の背中が見るからに出ています。座っていると張りがあり、痛いそうです。治療方法を教えてください。(嶺南、60代女性)

【お答えします】石井孝佳・福井総合病院整形外科医長

■曲がり大きいと「側弯症」

 背骨(脊柱(せきちゅう))は頸椎(けいつい)(首の部分)、胸椎(胸の部分)、腰椎(腰の部分)、そして仙骨・尾骨から成り立っています。変形のない場合、脊柱を横から見ると頸椎は前方に弯曲(わんきょく)(前弯)、胸椎は後方に弯曲(後弯)、腰椎は前方に弯曲しておりSの字構造となっています。脊柱を正面から見ると一本の棒のようにまっすぐに見えます。

 正面から見た場合に、左右に曲がっている状態のことを「脊柱側弯症」といいます。また、脊柱を省略し「側弯症」と呼ばれることもあります。弯曲の大きさは、上下で最も傾いている背骨どうしのなす角度(コブ角)で判断します。コブ角が10度以上あるものを側弯症と呼びます。ほんのわずかに曲がっている程度では側弯症とは呼びません。

 成人の側弯症にはいくつかのカテゴリーがあります。(1)思春期から存在した側弯が、成人になってそのまま発見された場合(2)思春期側から存在した側弯が、加齢の影響などで進行してきた場合(3)成人になってから加齢の影響などで新たに側弯症が出現した場合の三つに分けることができます。

■進行性か調べ治療選択を

 側弯症の治療は側弯の程度や年齢で治療方針が変わってきます。成長期の側弯症に対してはその程度によって、経過観察のみの場合や、進行予防のために装具療法を行う場合、矯正を目的として手術を行う場合があります。通常は骨が成熟すれば側弯の進行もなくなりますが、側弯が高度の場合はその後もゆっくりと進行することがあります。側弯症が高度になると心肺機能障害やさまざまな心理社会的問題を引き起こす可能性があるため、思春期であれば症状が少なくても手術療法を行うことがあります。

 しかし成人の場合では、その判断はより慎重になります。大人の側弯症の手術は、通常の背骨の手術と比較して大きな手術でありリスクには十分注意を払う必要があるからです。

 30代の娘さんでだいぶ前から側弯症を指摘されているとのことですので、カテゴリーとしては(1)もしくは(2)に該当すると思います。側弯が現在も進行性なのかどうかを今まで通院していた病院で評価してもらうのがいいのではないでしょうか。痛みに対しては、まずは薬物療法やブロック療法などの保存療法を行うのがよいでしょう。装具療法は、大人の場合、変形には効果は期待できませんが疼痛(とうつう)に対しては有効な可能性もあります。疼痛に応じて検討してもいいでしょう。

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