新型コロナウイルス特別措置法と感染症法の改正案では、医療機関が感染者受け入れに従わなければ機関名を公表できるようになる。福井県内の医療機関からは「(公表されれば)一般患者の診察、治療に不都合が生じ、患者はさらに減る可能性がある。『医療従事者頑張れ』と言われても限界がある」と怒りの声が上がった。

 福井市の病院の医療従事者はこの約1年間、感染への不安を抱えながら医療を提供してきたとし「コロナ患者受け入れとなれば、看護師らにさらに大きな負荷を掛けることになる」と説明。昨年11月からは新型コロナの検査も行っているが「感染を恐れて辞めた職員もいる。金銭的余裕も人的資源もない中、受け入れを拒めば悪者扱いされるのはおかしい」と憤った。

 清掃などの業者や食事の容器をどうするかなど、細かい課題が山積している。ワクチン接種も控える。「お金も与えられず準備期間もなく、危機だから受け入れて、では困る」と話した。

 別の医療従事者は、患者が減少している現状を訴え「手厚い補償をした上で、コロナ専門病院をつくるべきでは」と提案した。

 改正案には営業時間短縮命令を拒否した事業者への罰則も盛り込んだ。県健康福祉部の担当者は「法的な裏付けがあることは、感染対策の実効性を高める点では良い」と評価。その上で協力した場合の補償、財源の確保についても「明確な考え方を示すべきではないか」と指摘した。

 県内では昨年4~5月、国の緊急事態宣言時に約100業種を対象に休業を要請。その後はクラスター(感染者集団)発生の可能性がある店舗・施設には一定期間の休業を求めたり、店名・施設名の公表を勧めたりしている。担当者は「県内では入院や保健所調査を含め、皆さまに十分協力をいただいており、現状通りなら強制力を発揮する場面はないのではないか」とした。

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