資本提携について説明する福井銀行の林正博頭取(左)と福邦銀行の渡邉健雄頭取=1月14日、福井市内

 福井銀行が福邦銀行を子会社化する方向で、両行が資本提携に基本合意した。福邦銀が実施する50億円の第三者割当増資を福井銀が引き受けることで、福邦銀は公的資金の返済後の財務基盤を強化。福井銀はグループとして県内シェア5割超にまで高まる。ただ、超低金利の長期化や人口減少、新型コロナウイルス禍で地銀を取り巻く環境は厳しさを増しており、グループ化後は収益力の向上が大きな課題となる。

■「返済後の絵姿」

 両行が資本提携の「前提」としたのが、福邦銀が2009年に国から注入を受けた公的資金60億円の返済だ。返済期限は24年3月末に迫っており、福邦銀は返済財源として利益剰余金65億円を積み上げてきた。ただ、一括返済すれば、福邦銀の自己資本比率は8・05%(20年9月末)から5%台に下がる。国内基準の最低ライン4%は上回るものの、自己資本の増強が課題となっていた。

 1月14日の基本合意の記者会見で、福邦銀の渡邉健雄頭取は「(公的資金)返済後の“絵姿”をつくるには、同じ福井県にある銀行と業務面、資本面の関係を強化し、地域に貢献することだと考えた」と強調した。

 福邦銀が公的資金の前倒し返済を第三者割当増資の前提にしたのは、早期に国との資本関係を解消し「福井の中で(資本を)完結し、より地域のために身軽に動ける形に」(福井銀の林正博頭取)と考えたからだ。

■県内シェア57%に

 県内企業のメインバンク調査(東京商工リサーチ福井支店調べ)によると、福井銀は48・11%でトップ。福邦銀は福井信用金庫、北陸銀行(本店富山市)に次ぐ4番手の8・86%。子会社化により、グループとしてシェア約57%を占めることになる。

 福邦銀を子会社化するメリットに関し、福井銀の林頭取は「システム共有や本部機能などのバックヤード(事務)の効率化で、しっかりと効果を出していく」と述べ、コスト削減や業務効率化を挙げた。店舗集約や再編も視野に入れるが、具体化はこれからだ。また、両行のブランドは維持するため、それぞれの顧客企業同士を結び付けるマッチングや事業承継、M&Aの幅が広がるのも利点だ。

■北國銀は単独模索

 ただ、グループ化しても経営環境は厳しい。人口減で県内の資金需要は小さくなり、超低金利の長期化によって融資と預金の利ざや(金利差)で稼ぐビジネスモデルが限界に近づいている。さらに、コロナ禍で融資先企業の業績が悪化すれば、貸倒引当金が急増し利益面が圧迫される。

 菅政権が地銀再編を唱える中、政府と日銀は地銀の合併や経営統合に資金支援する政策を打ち出した。同時に「収益力の強化」として、地銀が企業に出資する際の規制緩和なども盛り込んでいる。

 北國銀行(本店金沢市)はこの規制緩和に合わせ、企業支援を目的とした投資会社の設立も視野に、持ち株会社へ移行する検討に入った。地銀再編の流れには乗らず単独経営を続け、新規事業参入などで業容拡大を狙う。昨年11月には福井銀の新本店ビル隣に福井支店を新築移転し、県内にも攻勢を掛けてきている。

 福井銀の林頭取も記者会見で「グループ全体として、どう収益を上げていくかを考えていかなければならない」と強調した。県内シェアをさらに高め、いかに収益力を上げる事業を展開できるか。グループ化後のかじ取りは重責だ。