拉致関連の写真展で「拉致問題解決の日が訪れることを願う」とあいさつした地村保志さん(右)=2020年11月9日、福井県小浜市役所

 民主党のジョー・バイデン氏が米国大統領に就任したことを受け、福井県内の拉致問題関係者は米国が北朝鮮に対し融和姿勢で臨む可能性があるとして警戒感を示した。「核、ミサイルとともに拉致を解決するよう、日本側からあらためて働き掛ける必要がある」と要望。同県小浜市の拉致被害者、地村保志さん、富貴恵さん夫妻=ともに(65)=は「日米の緊密な連携が必要不可欠」とのコメントを発表した。

 地村さん夫妻は「拉致問題は最終的には、日朝間の直接交渉で解決すべき問題」としつつ「バイデン大統領には、日本人拉致問題を国際社会において取り上げていただくなど、解決に向け、ご協力いただけるものと期待している」とした。

 バイデン氏は、国際協調路線に回帰するとされている。拉致被害者の支援組織「救う会」副会長の島田洋一福井県立大学教授は「民主党は北朝鮮や核問題に関して融和派が多い。経済制裁を続けるよう求めていくべき」とくぎを刺した。経済制裁が北朝鮮に影響を及ぼしているとの指摘は多く、「『父(故金正日氏)は永遠の総書記』と言ってきた金正恩氏が朝鮮労働党総書記に就いたのは、国内経済ががたつき、絶対的な肩書が必要になったのではないか」と推測した。

 米国はバイデン氏がオバマ政権で副大統領だった2015年、核兵器開発を疑われていたイランが原料となる高濃縮ウランの保有量を減らし、濃縮に使われる遠心分離機を削減する代わりに金融制裁などを緩和することで合意した。

 島田教授は「バイデン氏は高官を旧知の側近で固め、イラン核合意に関わってきた複数の人物を重要ポストに置いた。北朝鮮問題でも段階的に制裁を解除する可能性がある」と指摘。私案として「安倍晋三前首相を特使として派遣し、共和党の有力者に働き掛け、民主党政権をけん制していくべき」と述べた。

 「救う会福井」の森本信二会長も、オバマ政権では北朝鮮問題に大きな進展がなかったと懸念を示した上で「北朝鮮に拉致された米国人もいる。バイデン氏には世界的な人権問題として拉致を取り上げ、日本と協力して解決に導いてほしい」と求めた。

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