バイデン米大統領の就任演説要旨は次の通り。
今日は民主主義の日だ。歴史と希望、再生、決意の日だ。候補者の勝利ではなく、民主主義の大義をたたえる。人々の意志が聞き入れられた。民主主義は勝利した。
暴力が連邦議会議事堂の土台を揺るがそうとした。権力を平和的に移行するため一つの国家としてわれわれは結束した。
米国史上、これほど多くの難題に直面した時代はほとんどない。100年に一度のウイルスは静かに国内にはびこり、1年で第2次大戦での米国犠牲者数と同じくらいの命を奪い去った。
人種間の平等への渇望がわれわれを突き動かす。万人のための正義という夢は先延ばしできない。台頭する政治的過激主義や白人至上主義、国内テロに立ち向かい、打ち負かす。
1863年、エーブラハム・リンカーンは奴隷解放宣言に署名した。署名の時、リンカーンは言った。「もし私の名が歴史に刻まれるとすれば、この行為のためだろう。私の全霊を注ぐ」。私は全霊を注いで米国を結束させ、人々や国家を団結させる。分断の力は深刻で、現実のものだ。だが今始まったことではない。
南北戦争や大恐慌、世界大戦、米中枢同時テロ、苦しみや犠牲、挫折を経て、われわれの良心が常に勝ち抜いてきた。それぞれの瞬間で、多くの人々が皆を前進させるため団結してきた。今は歴史的な危機と挑戦の時だ。団結こそが前進の道だ。
意見の相違が全面戦争を引き起こす必要はない。事実が改ざんされ、捏造される文化を拒絶しなければならない。
暴徒が暴力によって国民の声を封じ、民主主義を止め、われわれを追い出そうとした。それは実現しなかった。永遠に絶対に実現しない。
意見の相違が分裂につながってはならない。私は全ての米国民の大統領になる。市民として、米国民として、指導者として、一人一人には真実を守り、うそを打ち破る義務と責任がある。
赤(共和党)対青(民主党)、農村対都市、保守対リベラルという品のない闘いを終わらせなければならない。
終わらせることはできるのだ。ほんの少しの寛容さと謙虚さを示せば。
目下の課題に取り組むため、互いが必要だ。新型コロナウイルスの大流行を一緒に克服する。
同盟関係を修復し再び世界と関わり合う。力を示すだけでなく、模範となることによる力で世界を導く。平和と進歩、安全保障のため、信頼されるパートナーになる。
まれに見る困難な時代に打ち勝てるのか。義務を果たし、より良き新たな世界を子どもたちに引き継げるのか。合衆国の歴史に次の偉大な章を書くのだ。目標と決意を胸に、この時代の課題に目を向けよう。(共同)