小林化工の全製品出荷停止を受け、福井県内の病院や薬局も対応に追われている=2020年12月、福井県福井市内

 福井県あわら市の製薬会社「小林化工」が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入した問題で、同社が全製品を出荷停止し全国の病院や薬局で供給不安が生じていることを受け、製薬業界が協調して供給調整に乗り出すことが1月6日、日本製薬団体連合会(日薬連)への取材で分かった。国内で同社が高いシェアを持つ13成分の医薬品が対象で、製薬各社が同一成分の製品の増産などを行う。

 抗菌薬「バンコマイシン」や、抗てんかん剤「バルプロ酸ナトリウム」などが対象。小林化工のバンコマイシンの注射剤のシェアは7割以上とされる。

 日薬連には製薬業界の31団体(約600社)が加盟。供給調整は、市場シェア20%以上の医薬品で欠品が1カ月以上見込まれる場合に適用する日薬連の「医薬品供給調整スキーム」に基づき実施する。同スキームは昨年2月、中国からの輸入停止や新型コロナウイルス感染拡大に伴う原薬不足のリスクなどを背景に構築した。供給調整は今回が2例目となる。

 来週にも同一成分の製品や代替薬を製造する企業でチームを編成。1成分当たり平均10社ほどで在庫量確認や当面1年間の増産を検討し、厚生労働省と連携しながら供給調整を進める。

 睡眠導入剤成分が混入したのは小林化工のイトラコナゾール錠50「MEEK」の一部ロットで、全国で健康被害が相次いだ。同社は同錠を含む15成分19製品を自主回収し、12月14日からは全289製品の出荷を停止している。

⇒小林化工の薬出荷停止、全国に波紋

 福井県内を含め全国の病院や薬局からは供給不安の声が上がっており、日本薬剤師会は同28日、同社に対し「他社の代替製品への変更などを巡り、現場では大きな混乱が生じている」として早急に対応するよう要請。同社は、医療現場を混乱させたと謝罪し「安定供給に向けて全力を尽くして取り組んでいく」とする小林広幸社長名の文書をホームページに公表した。