中間貯蔵施設の候補地を提示できず、櫻本宏副知事(右)に頭を下げる関西電力の松村孝夫副社長=12月25日、福井県庁

 福井県内の原発から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外候補地について、関西電力が県に12月25日提示したのは、実質的にゼロ回答だった。「事業者の信用、信頼に関わる」。櫻本宏副知事は厳しい口調で指摘し、関電が目指す運転40年超原発の再稼働の同意判断に向けた議論を進めない考えを言い渡した。来年1月を計画している美浜原発3号機の再稼働など、工程の見直しは必至となった。

⇒年内に候補地示せず、関電が謝罪

 「年内」という候補地の提示期限がある中、電気事業連合会(電事連)が検討している青森県むつ市の中間貯蔵施設の共同利用案が関電の最有力候補であったことは間違いない。17日に電事連が案を表明し、18日には青森県の三村申吾知事とむつ市の宮下宗一郎市長に説明した。同じ日、関電の森本孝社長は会見で「積極的に参画したい」とし、共同利用案を福井県に報告する考えまで示した。

 段取りが全て整っているような展開だったが、宮下市長は強く反発。関電が21日で調整していた森本社長と杉本達治知事との面談は見送られた。福井県や青森県の複数の関係者によると、土、日曜の19、20日も資源エネルギー庁幹部が宮下市長に電話で“説明”を続けたというが、関電が具体的な候補地として提示できるまでには至らなかった。

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 「できる限り早めに報告したい」。櫻本副知事との面談後、松村孝夫関電副社長は記者団にこう繰り返した。

 2年前の2018年12月、1度目の期限を守れなかった際は、岩根茂樹社長(当時)が西川一誠知事(同)に謝罪した。今回の対応について松村副社長は「できるだけ早めの報告を約束したことが(回答を2年先延ばした)前回とは違う」と説明。記者団の取材に応じた杉本知事も「関電や国が前向きに一生懸命やっている状況ということなので、次の機会を待ちたい」と猶予を認めたが、空手形になる可能性は否定できない。

 運転開始から40年を超えている美浜原発3号機、高浜原発1、2号機の再稼働は全く見えなくなった。杉本知事は「中間貯蔵施設の計画地点の提示がないので議論の入り口に立たない」と明言した。2月16日に開会する県会に再稼働議論を要請できるかは不透明だ。

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 高浜4号機は10月、設置期限を迎えたテロ対策施設を完成できず、運転を停止した。来年6月9日に期限が来る高浜1、2号機、10月25日が期限の美浜3号機も施設はできていない。完成時期も「未定」だ。

 関電は美浜3号機を来年1月、高浜1号機を3月、2号機を5月に運転再開する計画だが、仮に3基を動かすことができても、期限までにテロ対策施設が完成しなければ運転停止に追い込まれる。このため県は、急ぐことなく慎重に判断する姿勢を崩していない。

 嶺南の中堅県議は「新規制基準による40年超原発の再稼働は全国初。再稼働を急ぎ、トラブルなどで停止すれば二度と動かない可能性もある。慎重に判断すべきだ」と述べた。