ドローンを使って映像や写真を撮影するフライトオペレーター、竹原勇樹さん(25)=福井市=に、ドローンの操縦の面白さや難しさを聞きました。
■「木の間を通してほしい」
―これまでで印象的だった撮影は。
雲海に浮かぶ大野城。あとは、灯台が立っている高浜の断崖絶壁を撮ったときはきれいでした。ドローンの映像を見て操縦していると、鳥の目線のような感覚で、すがすがしい気分になります。
―風景が多いんですか?
多いのは風景です。桜や紅葉、海など、季節の美しい風景が撮りやすい時期は忙しいです。風景以外もさまざまな場所で飛ばしていて、例えば工場や発電所の中、橋の撮影。報道目的で、火事現場で飛ばすこともあります。規制線の中には入りませんが。
―難しいのはどんな撮影ですか?
よく依頼されるのは、「木の間を通す」「建物のきわを抜ける」ですね。一番難しかったのは工場の中。機械が上下にある状態で、レーン通りに飛んでほしいと。対応できるように、木の板でトンネルを作って通すなど、飛ばす練習を休日にしています。
■誰も見たことがない映像
―映像は何に使われるんですか?
CMや施設のPR、テレビ番組や新聞などが多いです。ドローンの映像は、ヘリとも違います。撮るものに50センチほどまで寄ることができるので、迫力があります。これまで誰も見たことがない映像なんです。
―どれぐらいの頻度で撮影があるんですか。
平均すると2日に1回です。毎日撮影すると、機材の維持上の問題があります。本体やカメラのメンテナンスをしないといけないので。撮影した映像の編集もしています。あとは撮影の許可を取るための申請。撮影よりも申請作業の方が多いです。
―飛ばすのに許可が必要なんですね。
必要です。まず飛ばす場所の地権者の許可。人口密集地や空港周辺、国の重要施設などでは国交省の許可がいります。
許可を取った上で、最近は飛ばす前に警察に連絡しています。地域の方から「怪しい人がドローンを飛ばしている」と通報があるケースがけっこう多いんです。
■ドローンは落ちる
―ドローンは落ちないんですか。
落ちます。一般の方は「落ちそうだけど、意外に落ちないね」という感覚の方が多いのではないかと思いますが、プロからすると、ドローンは落ちるものです。その中で、どう安全に飛ばすかがプロの技です。
―危ないのはどんな場面ですか。
突風、鳥に当たりそうになる、電波が途絶える、故障などです。例えばドローンのカメラが故障したら、目視だけで手元に戻さないといけません。そんな状況に備えて日ごろから練習しています。
―鳥がぶつかりそうになったら?
ぶつかったら落ちるので、よけます。いろいろな考え方はありますが、鳥は風を受けて飛んでいるので、真上には急に上がってきません。だからまず高度を上げます。
―操縦は難しいんですね。
難しさは、無線操縦の車を10とすると、1000ぐらいです。100倍難しいです。
―撮影用のドローンで練習するんですか?
もっと小さなドローンです。小さい方が、プロペラのパワーもないですし、GPSや自動航行といった機能が何もないので難しいんです。
■人が死ぬ確率はゼロに
―今後、ドローンの活用は進む?
技術はどんどん進歩していて、使われる場所も広がっています。農業や測量でも使われますが、今は撮影と、孤立した人の状況を確かめるといった災害支援が多いです。次に早く導入するのは宅配と言われています。ただ配達場所の整備や地域住民の理解などが必要です。
ドローンが必須になる場合も出てくると思います。例えば高い場所にある高速道路の橋は、人が点検するとリスクがありますが、ドローンなら人が死ぬ確率はゼロになります。
―いろいろな分野の知識もいりそうですね。
撮影にしても、ドローンの操縦の知識、映像撮影の知識、それに法律の知識がないと飛ばせません。専門的なことをとことん追求できる人が向いていると思います。興味があるなら、まず無線操縦の小さなヘリコプターや飛行機を飛ばしてみてはどうでしょうか。
次回のお知らせ
次回インタビューするのは、鯖江市の老舗料亭「御殿當田屋」のおかみ、栗田もも乃さん(24)。料亭に来るお客さんのおもてなしに奮闘しています。質問を募っています。締め切りは1月6日です。話を聞きたい県内の職業や人も募集します。
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