【「死にたい」と向き合って】同棲生活を始めた親友に嫉妬して秘密漏らし…責め苦にあえぎ東尋坊へ

 2020年某日の夕方、関東地方に住む30歳代女性が日本海が一望できる東尋坊(福井県坂井市)にある芝生広場の中で長時間、身動きもせずに休んでいました。「こんにちは、どちらから来られました・・・? 何か困っていることがあるみたいですね」と話しかけたところ、女性は涙を浮かべ急に下を向いてしまいました。「もう大丈夫ですよ。どんなことがあったか知りませんが、私が何とかしてあげます…!」。晴れ渡る空の下、落ち込む女性の姿を見て、私は励ましの言葉をかけました。そのときです。「私が悪いんです。死ぬしかないんです…」と言って、女性は急に泣き出してしまいました。私は相談所まで来てもらい話を聴くことにしました。

 女性は体を振るわせながら話をしてくれました。

 「実は、高校時代からの親友である女性が知り合いの男性と同棲生活をしていてとても幸せそうだったので、私は嫉妬心から『彼女は処女でないよ…』と匿名でメールを送ってしまいました。すると、その女性の彼氏が私宛てにツイキャスで『あなたは彼女の情報を流して満足ですか…? 彼女はあなたの望み通りに死にかけています。現在緊急治療室に入っています。あなたも死んでお詫びしてください… 』という旨の言葉と血が飛び散っている動画が今朝送られてきたのです。私はびっくりし、目の前が真っ白になってしまったのです。自分の軽はずみな行為によって彼女を死に追い込んでしまった。責任は私にある。今後、彼女たちから私や私の家族に報復されると思うと怖くなり、同時に自分がやった行為について恥ずかしくなりました。誰にも相談ができず、もう相手と話をしなくていいように1日も早く自殺して詫びるしかないと考え、遺書を書くためのノート一冊を持って電車に乗り、東尋坊に来てしまいました」


 女性はスマホの動画に加え、両親や兄、友人宛てへの遺書が書かれているノートも見せてくれました。両親に宛てられた遺書には自分がしたことへの後悔、育ててくれたことへの感謝と期待に応えられなかったことへの謝罪の気持ちがつづられていました。私たちは、ツイキャスに写されている女性の自殺未遂の事実確認のため警視庁に問い合わせをするとともに、家族に事情を説明し、家族の依頼によって地元警察署に保護を求めました。

 確かに発端はこの女性ですが、互いに誹謗中傷行為がエスカレートしていった経緯もあります。いずれにしても、まずは相手真摯に謝罪するしかありません。そして、わだかまりが残らないような形で和解するのみです。困難なことではありますが、支えてくれる家族とともに一歩ずつあゆんでいってほしいと願っています。

 安易に人を傷つけるような投稿をしてしまうことが、どれくらい怖いことなのか身にしみて感じさせる事案でした。コロナ禍でSNSでの誹謗中傷が出ています。しかし、その心ない言葉は、いつか自らに返ってくるということを忘れないでください。

 誹謗中傷行為は犯罪です。

・侮辱罪(刑法231条)    =事実を摘示しないで、公然と相手を侮辱する行為
・名誉棄損罪(刑法230条)   =事実の有無に関わらず、公然と相手の名誉を傷つける行為
・強要罪 (刑法223条)   =脅迫して義務の無い事を行なわす行為
・強迫罪(刑法222条)     =害を加えることを告げて脅す行為
・自殺関与罪(刑法202条)   =自殺する事を教唆し、幇助する行為

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 福井県の東尋坊で自殺を図ろうとする人たちを少しでも救おうと活動するNPO法人「心に響く文集・編集局」(茂幸雄代表)によるコラムです。

 相談窓口は電話=0776817835