ジャパンクラフトハウスの玄関先で、風情あるのれんとちょうちんが宿泊者を出迎える

 柱や天井、ふすまに施された深紅の漆が、越前漆器の味わいを感じさせる。福井県鯖江市別司町の民泊・伝統文化体験施設「ジャパンクラフトハウス」は、宿泊受け入れを1日1組に限定している。木造2階建て、11LDKの広々とした空間を、仲間や家族だけで丸ごと独占できる。

 「こんな家、都会ではなかなか見られない」。2020年11月、公務員の長谷川貴也さん(33)=東京都=をはじめ都内や三重県に住む友人7人が、泊まりがけの再会の場に選んだ。

古民家の民泊を楽しむ宿泊者=鯖江市別司町

 田の字形の間取りに畳の部屋。扉や窓を開ければ家中に風が通り、空気が入れ替わる。「日本家屋は自然と換気ができている」。三重県から合流した男性(43)は感心した。長谷川さんも「今の時勢、屋内はどうしても感染症を意識せざるを得ない。これだけ広いと安心感がある」。都心にはない、贅沢な空間に映った。

 畳の部屋で地元の伝統薬味「山うに」作りに挑戦した。山うにの製造販売を手掛ける越前隊(鯖江市)の社長(41)の手ほどきを受けながら、すりばちで材料を混ぜる。長時間ただ練り上げる根気のいる作業。7人は腕の疲れを感じながらも「それが楽しい」と笑う。

古民家をひとり占めし、山うに作りを楽しむ宿泊者ら=福井県鯖江市別司町のジャパンクラフトハウス

 夕食は、一行が準備した待望のカニ鍋だ。和室に湯気が立ちこめる中、いつまでも話が弾む。長谷川さんたちは、また笑った。「『家に集まる』ことがこんなに楽しいなんて」

■地元で非日常の旅

 ジャパンクラフトハウスは、県外客や訪日外国人客だけでなく、近隣からの小旅行で地域の魅力を再発見する「マイクロツーリズム」を念頭に置いている。マイクロツーリズムは地域内観光によって経済活性化を図る概念。コロナ禍でますます注目が集まっている。

 鯖江市河和田地区には、漆器や眼鏡職人と触れ合える“非日常感”がある。あなたの地元でも、魅力ある「小さな旅」を見つけてみては。