2019年8月ごろ、関東地方に住む50代の女性が、近所の歯科医で奥歯にインプラント4本を入れる施術を約240万円もの大金を支払って受けました。しかし施術後、歯茎が痛くて耐えられないため、2番目の歯科医で診てもらいました。

 すると「歯が痛むのは1回目の医師による施術の失敗によるもので、歯茎にインプラントを埋めた時の網やピンが除去されておらず感染症を起こしている恐れがある。またインプラントを固定するのに2本のインプラントを入れないといけないのに1本しか入っていないから再手術をしないといけない」と言われたそうです。そして歯茎に残されていた網やピンを取り除いてもらい、2本のインプラントを入れる施術を216万円かけ受けました。

 しかし問題は解決しませんでした。依然として痛みが取れなかったのです。女性は両医師による医療過誤があると疑い、セカンドオピニオンである3番目の歯科医師の診察を受けたところ「両歯科医師による医療過誤があると思われる。まだ痛みが残っているのは、まだピンが残っているからだと思われる」と指摘されました。

 再び施術を勧められることになり、もう歯科医師に対する信頼を完全に失ってしまいました。この事実を自らの命に代えてでも世間に訴えたいとの思いから、女性の足は東尋坊に向かっていました。私が声をかけた時、女性は岩場に立っていました。

 女性からの相談に対して、私たちのNPO法人「心に響く文集・編集局」は、福井県に住む知り合いの弁護士さんにボランティアで相談に乗ってもらい、医療過誤事件として法廷で争うために関東に住む医療問題に強い弁護士を紹介してもらいました。

 問題解決へ少しでも進展があればと願っていました。それから1年が経過した2020年12月3日、第三波のコロナ禍であるため訪問をお断わりしていたのですが突然その女性が東尋坊に現れました。そこでこれまでの経過を聞いたところ、

 「関東の3カ所の法律事務所で相談し、歯科医師に対して弁護士を通じて証拠収集に協力を依頼しましたが、各歯科医師は人間関係があるため協力はできないと言われた」とのことでした。現在もまだ歯茎に異物が入っており、痛みが取れず、資金も枯渇しているため途方に暮れていました。

今後の対応について状況と取るべき行動を整理すると、

・生活困窮者のための法テラスがありますが訴訟に持ち込むためには弁護士費用、調査・証拠保全費用、協力医のコメント料、鑑定意見書代、交通費や出帳費などの資金が必要であり、2021年5月で時効になる

・現在も本人の歯茎にピンが入っており歯の痛みが現在も取れていない状態は最大の証拠である

・本件事案を考察するに、難事件であり「本人訴訟」も視野に入れるべきだと提言しました。

 本人訴訟とは、弁護士などの訴訟代理人を選任せずに訴訟を行うことです。法的な知識や手間が必要とされますが、裁判官に直接、自分の主張を伝えることができます。その場合の訴訟費用(印紙代を含む)は下記の通りです。

◆調停             500円~15,000円
◆少額訴訟 (60万円まで)  1,000円~6,000円
◆500万円以下の訴訟費   30,000円

 今回相談を受けた女性の問題はまだ解決していません。医師にはインフオームドコンセントにより施術前にちゃんとした説明をし、術後もしっかりとしたケアをする義務があります。今回のような対応をされたため彼女は自殺未遂までしてしまったのだと思わずにいられません。法廷で真実が解明されるのを待っています。

  ×  ×  ×

 福井県の東尋坊で自殺を図ろうとする人たちを少しでも救おうと活動するNPO法人「心に響く文集・編集局」(茂幸雄代表)によるコラムです。

 相談窓口は電話=0776817835

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