【バドミントン・山口茜】コーチとの軽めのラリーに、思わず笑みがこぼれる。「読みが外れると、あーやられたって」。再春館製薬所(熊本県)の体育館。大会や代表活動が長く中断する異例の日々に際しても、バドミントンを楽しむ姿勢は少しも変わらない。

 2020年3月の全英オープン後は寮で2週間待機。体育館への社員の出入りを止めチーム専用とすることで練習を持続できた。体力や技術の低下は「多分ない、としか言えない」。実戦を重ね調子を上げていく。

 五輪で勝つ鍵は「スピード」と断言する。速いだけでは相手が慣れる。「緩急が大事。それが難しい」。リオデジャネイロ五輪後の4年で課題だった体力は「付いた」と自信がある。速さが加われば敵はいない。

チームの練習で笑顔を見せる山口茜=熊本県益城町

 周囲の期待を背負い過ぎ「気持ちとプレーがかみ合わない」時期もあった。でも今は「いろんな経験をした。重圧を気にしないというか、純粋に楽しめている」。社会人5年目。リオの悔し涙も、実業団で臨むチーム戦の難しさも糧にして、たくましくなった。

 【略歴・山口茜】やまぐち・あかね 勝山南部中-勝山高-再春館製薬所。全国高校総合体育大会で史上初のシングルス3連覇。リオデジャネイロ五輪8強。東京五輪出場が確実。2019年に2度目の世界ランキング1位に立った。現在3位(2020年3月から凍結)。156センチ。23歳。

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 「何のために戦うのか」。東京五輪・パラリンピックの1年延期を受け、福井県のトップ選手たちは自問を繰り返した。今夏の開催へ先行きが見通せない中、調子を維持するのは肉体的にも精神的にも苦しい。それでも精いっぱいの力で今を進む。家族のため、仲間のため。そして自身の誇りのため-。