交流ノートだけが残された東美浜駅で「応援ノートを戻してほしい」と話す男性=12月9日、福井県美浜町の同駅

 2019年7月の放火殺人事件で36人が犠牲となった「京都アニメーション」制作のアニメに登場する駅のモデルとされるJR小浜線東美浜駅(福井県美浜町)に、ファンが設置していた応援ノートがなくなっていると、福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)に情報が寄せられた。誰かが持ち出したとみられ、設置したファンは「たくさんの人の思いが消えてしまったように感じる」と、返却を呼び掛けている。

 応援ノートを設置したのは県内の嶺南地方の男性ファン(21)。同駅は事件前から京アニ作品「中二病でも恋がしたい!」のモデルとなった“聖地”として知られ、別のファンが聖地巡礼の喜びを記す交流ノートを置いていた。男性は事件から5日後、「元気をもらった京アニに恩返ししたい」と、表紙に「負けるな京アニ!」と記したノートを交流ノートとは別に置いた。

⇒【写真】京アニへの感謝や激励がつづられた応援ノート

 男性が今年10月ごろに確認した際には、ノート半分近くにわたり京アニへの激励や感謝がつづられていた。事件から1年以上たった日付や、神奈川県など遠方から訪れた人の声もあり「自分と同じ思いの人がこんなにもいる」とうれしかったという。ところが12月6日夜に確認すると、交流ノートはあるのに、応援ノートはなくなっていた。

 男性は東美浜駅のほかにも、別の京アニ作品の聖地など滋賀県、岐阜県の3カ所に同様の応援ノートを設置しており、このうち滋賀県豊郷町のノートも2020年9月になくなっていた。今回、2冊目の紛失となり「思いを書いていただいた大勢の人に申し訳ない」と肩を落とす。

 岐阜県飛騨市に置いていた応援ノートは期間を前倒しして今月8日に回収。滋賀県日野町のノートも来月回収予定で、京アニに送ることにしている。またメッセージを基に動画も作り、インターネットで多くの人に見てもらう予定。男性は紛失について「皆の思いを返してほしい。誰かが一時的に持ち出しているだけかもしれないので、こっそり戻してもらえれば回収する」と話している。

 同駅はJR敦賀駅が管理しており、応援ノートは常識的な範囲の利用として見守ってきた。ただ頻繁な巡回があるわけではなく、紛失には気づかなかったという。

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